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隣の温もりが消えた感覚で目が覚める。
シャツを着ている紫耀くんの後ろ姿が目に入り、彼の存在を確かめるように重い瞼を押し上げる。
あれから何度か彼から求められ私はそれに従順に応えた。
私から求めることはしない。
それはルール違反だからだ。
私が私自身に課せたルール。彼がいつかこの関係に飽きてしまった時に面倒にならないように。彼の重荷にならないように。
「ごめん起こした？」
彼が振り返る。
いつから気付いていたのかこっそり盗み見ていたつもりがとっくに起きていたのがバレていたらしい。
「ううん」
「今日休みやろ？まだ寝とき？」
「んー、起きてる」
午前4時。
日が昇り切る前の別れにももう慣れた。
彼は必ず寝過ごす事はない。ちゃんと起きて待っている人がいる家に帰るべき場所に帰る。
スーツを着終えた彼がまだ布団の中にいる私の髪に指を通す。そんな愛おしいものを見るような目で見ないで。
「次いつ会える？」
そんなのこっちが聞きたいのに。
貴方に会いたいと言われれば無理に予定を空けてでも会いに行く程私は貴方しか見えていないのに。
「私はそんなに忙しくないよ」
「そっか。じゃあまた連絡する」
「うん」
「連絡待ってるね」その言葉ですら彼の負担になる気がして喉の奥で噛み砕く。
そんなこと、言わない。言えない。
軽く唇を合わせ、帰ろうとする彼の後を追い寝室を出る。
次にいつ会えるか分からない彼を1秒でも長く目に焼き付けておきたくて。
「いってらっしゃい」
昨日のおかえりの続きを言ってみる。これくらいなら許されるかな？なんて。
「はは、それいいな」
ふにゃりと顔を緩めて笑う彼が愛おしくて苦しい。
「いってきます」
バタンと扉が閉まると共に仄かに鼻を掠める彼のバニラの匂いが私に孤独感を与える。
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西瓜(プロフ) - こもねさん» コメントありがとうございます。とても嬉しいお言葉、感謝します。頂いたお言葉を励みに両作品とも更新頑張って行きますのでよろしくお願い致します。 (2018年5月17日 3時) (
レス) id: 66c14fc432 (このIDを非表示/違反報告)
こもね(プロフ) - はじめまして。西瓜さんの細かく的確な描写が大好きでいつも楽しみにしています。狂想共に更新頑張ってください！＾＾ (2018年5月16日 18時) (レス) id: b89f9c806b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：西瓜 | 作成日時：2018年4月20日 21時
