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Ren
自分から放課後の勉強会を依頼しておいて先生の言葉が全く身に入らない。
それはまだあの男の言葉が耳に残っているからで、目の前の先生の顔がまともに見れない。見てしまったら傷付きそうで。
今の俺にとって最低限の防護策だ。
「先生で良かったら何でも聴くけど...」
俺があの日の事を引きずっているというのに彼女は平然とそう言い放つ。
心配そうに俺を覗き込むその顔に少し苛立ちを覚える。でもその苛立ちの大半はこの気持ちに踏ん切りを付けられないでいる俺自身へのものでもある。
いつもなら彼女が俺の事を考えてくれるだけでも嬉しいはずなのにそんな彼女を見ていると、もっとその脳内を占領したいという欲が出て来てしまう。
「先生のせいやって言ったらどうします？」
半ば苛立ちの勢いに任せた言葉だが、それに1ミリも嘘は無い。
こうなったらどうにでもなれという気持ちで吐いた俺の言葉に案の定彼女の目が少し見開かれた。
「えっ、と...」
その後何かしてしまったかと不安そうな顔を見せる彼女を見ると俺の発言で変わる彼女の表情に嬉しい反面悲しくもなった。
これで終わりにする。
今だけでいい、この一瞬でいいから俺で頭いっぱいになればいいのに。
「何でも聴いてくれるって言いましたよね？」
追い込むように彼女に吐露する。
この言葉を言ったらもう後には引けない、絶対に。でもそれでいい。これが最後だから。
「俺が、先生のこと好きって言ったら？」
今まで不安そうだった彼女の表情が予想だにしていなかった言葉を受けて固まる。
「...え？」
「ずっと先生のこと好きでした」
まだ状況を把握出来ていない様子の彼女の目線が荷物をまとめる俺の事を何とか追う。
「永瀬くん、」
「ごめんなさい。今日で終わりにします全部」
「ありがとうございました」
彼女1人を残した教室に最後に逃げるように放った言葉は届いただろうか。
好きでいてごめんなさいと好きで居させてくれてありがとう。
この気持ちはいつも俺の中に同じ比率であった。
でも最後はどうしてもありがとうで終わらせたかったんだ。
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西瓜(プロフ) - こもねさん» コメントありがとうございます。とても嬉しいお言葉、感謝します。頂いたお言葉を励みに両作品とも更新頑張って行きますのでよろしくお願い致します。 (2018年5月17日 3時) (
レス) id: 66c14fc432 (このIDを非表示/違反報告)
こもね(プロフ) - はじめまして。西瓜さんの細かく的確な描写が大好きでいつも楽しみにしています。狂想共に更新頑張ってください！＾＾ (2018年5月16日 18時) (レス) id: b89f9c806b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：西瓜 | 作成日時：2018年4月20日 21時
