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彼女との出会いは俺が転校して来て少し経った頃だった。
「永瀬くんかっこいいよねー」
「早速エース候補らしいよ！」
「勉強も出来て運動神経もいいとか最高じゃん！」
俺に向けられる視線はいつもこんな感じで。
小さい頃から転校する機会が多かった俺は、転校生と言うレッテルを貼られるうえに有難いことに人より少し良く造られた容姿を持ち合わせていて、羨望の眼差しを向けられる事が多かった。
小さい頃は周りの期待に応えたくて頑張った。勉強だってサッカーだって頑張った分だけ褒められて、注目される、それが単純に嬉しかった。
でもそれが段々と俺に重くのしかかって来るように感じ始めた時から頑張る事に疲れた。
周りの奴らは俺の学力も運動神経も生まれ持った才能だとでも思っているのだろうか。
勉強は家でも何時間としたし、サッカーは部活以外の時間で何時間だって練習した。
羨まれる分だけ努力して来たつもりだ。
「たまには休憩してみたら？」
彼女が最初に俺に掛けてくれた言葉。
朝練より早い時間に登校してエースと呼ばれるに相応しくなるように頑張っていた俺に向けられたその言葉に違和感を覚えた。
彼女の事をまだ知らなかった俺は苛立ちすら覚えて反応せずにいると
「いつもいつも頑張ってるよね」
その言葉に俺の動きが止まる。
誰より早く来て誰より遅く残っていた俺の存在を、周りが見向きもしていなかった影での努力を彼女は見ていてくれた。
「息抜きぐらいしたって誰も責めたりしないよ」
そう優しく微笑む彼女が見ていてくれた事なんて気付きもしなかった。
自分の世界にのめり込んで期待を裏切らない為にやって来た。いや違う、多分自分の為だ。
羨望の眼差しが他に行くのがきっと怖かった。
俺が求めていたのを分かっていたかのように彼女から次々と出て来る言葉全てが俺の体に染み込んでいく。
「ありがとう、ございます...」
「ゆるーく頑張れ」
彼女の細い手が俺の肩に軽く触れた。
心の奥溜め込んだ毒素が湧き出て来るかのように心が軽くなった気がした。
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西瓜(プロフ) - こもねさん» コメントありがとうございます。とても嬉しいお言葉、感謝します。頂いたお言葉を励みに両作品とも更新頑張って行きますのでよろしくお願い致します。 (2018年5月17日 3時) (
レス) id: 66c14fc432 (このIDを非表示/違反報告)
こもね(プロフ) - はじめまして。西瓜さんの細かく的確な描写が大好きでいつも楽しみにしています。狂想共に更新頑張ってください！＾＾ (2018年5月16日 18時) (レス) id: b89f9c806b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：西瓜 | 作成日時：2018年4月20日 21時
