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Ren
もう9月だというのにグラウンドに差し込んでいる日差しはジリジリと暑く地面を歪ませる。
向かいの校舎の窓から見える彼女を捉えた俺の顔もまた歪んだ。
あの日以来、夏休み期間中ずっとあの男に向けた彼女の表情、後を追う彼女の背中を思い出していた。あの男の顔はぼんやりとしか出て来ないけれど。
「おーい、...おーい廉」
隣で長妻が呼んでいる。
気付いているが今はそちらに首を向けることすら煩わしい。どうせいつものくだらない話を持ちかけてくるのだろう。
「またAちゃんの事見てんのかよ」
よりによって今1番出されたくない人物の名前を出され、苛立ちを覚える。
「うるさい」
「あ、やっとこっち見た」
「授業に集中しろや」
意識的に顔を歪め顎で黒板を指して机に伏せる。伏せる前にそれはこっちの台詞だと言いたそうな顔をしていたがそんな長妻に構っている余裕はない。
「頼りないかも知れないけどよろしくね」
いかにも彼女の事を分かりきっているかのように俺にそう言って来たあいつは多分A先生の兄なんかではない。
「いつもAがお世話になってます」
顔ははっきりと浮かんで来ないのにあいつの放った言葉は槍のように俺の耳に刺さって抜けずにはっきりと今でもループされる。
なんで予測しておかなかったんだろうか。
いや、多分頭のどこかで予測はしていたがそれを肯定するのが怖かったんだ。
"彼女に恋人がいる"事を。
でもいくら認めたく無くたってこの目で見てしまえば認めざるを得ない。
もう諦めよう。今まで何度も思って来た。
意思の弱い俺はそれが出来ずにいた。
でも今回は話が違う。諦めよう、じゃなくて諦めなければならないんだ。
じんわりと熱くなってくる目頭を腕に強く押し付けた。
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西瓜(プロフ) - こもねさん» コメントありがとうございます。とても嬉しいお言葉、感謝します。頂いたお言葉を励みに両作品とも更新頑張って行きますのでよろしくお願い致します。 (2018年5月17日 3時) (
レス) id: 66c14fc432 (このIDを非表示/違反報告)
こもね(プロフ) - はじめまして。西瓜さんの細かく的確な描写が大好きでいつも楽しみにしています。狂想共に更新頑張ってください！＾＾ (2018年5月16日 18時) (レス) id: b89f9c806b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：西瓜 | 作成日時：2018年4月20日 21時
