29. ページ29
.
「...え？なんで...」
思いもよらない彼の登場に一瞬思考が止まる。
「昨日連絡したんやけど」
慌ててスマホを確認すると彼からのメッセージが届いていた。この2日間何かと忙しくて確認出来ていなかった。
「ごめんなさい、ちょっとバタバタしてて」
「あの...」
状況を理解していない様子の永瀬くんが恐る恐る声を掛けて来る。
まずい。こういう時どう説明すればいいんだろうか。
「あ、えっと...兄、です。」
紫耀くんの方を指し永瀬くんに説明してみるものの2人の顔が見れずにいる。
無理があったかと思ったが次の言い訳が思いつかない。
「いつもAがお世話になってます」
紫耀くんが口火を切った。
「あ、いえ、お世話になってるのは僕の方で...」
「Aの生徒さん？」
「はい」
「頼りないかも知れないけどよろしくね」
永瀬くんに笑顔を見せた紫耀くんは足速に行ってしまった。
「気を付けて帰ってね」
紫耀くんの背中を目線で追う永瀬くんに一言掛けて私も慌てて彼を追う。
「そこのパーキングに車停めてある」
「うん。...ありがとう」
どこか冷たいような彼の言い草に鼓動が速まる。怒ってる...かな？
「返事帰って来んから仕事かなと思って。
...駅まで迎えに来て正解やったな」
「え？」
「...なんでもない」
ハンドルから伸びた彼の手が私の頭に軽く触れた。
でもその表情はまだ読めない。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 282人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「永瀬廉」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
西瓜(プロフ) - こもねさん» コメントありがとうございます。とても嬉しいお言葉、感謝します。頂いたお言葉を励みに両作品とも更新頑張って行きますのでよろしくお願い致します。 (2018年5月17日 3時) (
レス) id: 66c14fc432 (このIDを非表示/違反報告)
こもね(プロフ) - はじめまして。西瓜さんの細かく的確な描写が大好きでいつも楽しみにしています。狂想共に更新頑張ってください！＾＾ (2018年5月16日 18時) (レス) id: b89f9c806b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：西瓜 | 作成日時：2018年4月20日 21時
