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蝉の鳴き声が煩く響く8月
晴天の下グラウンドにバスが停まる。
「白河先生、点呼お願い出来ますか」
「はい」
夏休みも中盤に差し掛かった頃、今日から1泊2日の合宿が始まる。
「戸田くん」
「はい！」
「...永瀬くん」
「はい」
一瞬目が合ったものの一方的に気まずい顔をしてしまったからなのかすぐ目線を逸らされてしまった。
見かけない間に彼は少し焼けた気がする。
あの日、彼は「夏期講習の帰りだから」と私を駅まで送ってくれた。
独りで居たくなかった私は少しでも彼が隣にいてくれた事に安心感を覚えた。
何も言わずただ隣を歩いてくれる彼にありがとうとごめなさいしか言えなかった。
「じゃあ白河先生の隣は、川崎な」
「はい。よろしくね、先生」
「よろしく」
女の子らしい香りを漂わせた彼女は愛らしい笑顔で私の隣に腰掛けた。
「先生って選択英語だよね？」
「うん」
「廉がたまに補習してるって聞いてる」
「そうなんだ」
「廉」その呼び方に違和感を感じた。
私が女子生徒から聞く話で出て来る彼は「永瀬くん」と呼ばれていて、彼が女の子と仲良く話してる姿はあまり見かけたことがない。
だから「廉」なんて近しい呼び方で呼ぶ子がいた事を知らなかった。
「頭いいから補習なんて必要ないのにね？」
そう言って彼女が私の方を向く。
「まあ、でも、学習意欲があるのはいい事だから」
いつか永瀬くんに言ったような台詞を言う。
「そっか、...そうだね」
私から目線を外した彼女は一瞬僅かに顔を歪めた気がしたが、その後すぐに笑顔になった。きっと私の気のせいだ。
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西瓜(プロフ) - こもねさん» コメントありがとうございます。とても嬉しいお言葉、感謝します。頂いたお言葉を励みに両作品とも更新頑張って行きますのでよろしくお願い致します。 (2018年5月17日 3時) (
レス) id: 66c14fc432 (このIDを非表示/違反報告)
こもね(プロフ) - はじめまして。西瓜さんの細かく的確な描写が大好きでいつも楽しみにしています。狂想共に更新頑張ってください！＾＾ (2018年5月16日 18時) (レス) id: b89f9c806b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：西瓜 | 作成日時：2018年4月20日 21時
