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「予習の範囲で分からなかったところはありますか？」
私が2年生と掛け持ちしている3年生の前期はまだ一学期と言えど受験に向けて皆ピリピリしている。
2年生の教室の様な騒がしさは無い。
特に反応がないのでそのまま入試対策の授業に入ろうと端から順にプリントを配布していく。
ふとグラウンドに目をやると2年生が体育をしているらしく、サッカーをしている男子生徒の中に楽しそうにボールを追いかける永瀬くんを見つけた。
あどけなさが残るその表情を見て、高校時代の記憶が蘇る。
「サッカー好きなん？」
初めて彼と話したのは確かその言葉だった。
「先生？もう始めていいですか？」
「...ああ、ごめん。では、始めて下さい」
生徒の声に慌ててグラウンドから視線を外してタイマーをかける。
部屋にはシャーペンと紙が摩擦で立てる音、窓からそよぐ夏の風、グラウンドから聞こえる生徒達の声。
「紫耀先輩！.....私っ...」
「ごめん、俺...」
遥か昔の記憶が頭の奥から湧き出る。
人間は嫌な記憶は薄れていくように都合よく出来ていると聞いた事があるけどそんなの嘘だ。
今でもあの苦しそうに歪んだ彼の顔が鮮明に思い浮かぶ。
私は彼に何度失恋しただろう。
私はなんて諦めが悪いのだろう。
私は、何度彼に恋してしまうのだろう。
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西瓜(プロフ) - こもねさん» コメントありがとうございます。とても嬉しいお言葉、感謝します。頂いたお言葉を励みに両作品とも更新頑張って行きますのでよろしくお願い致します。 (2018年5月17日 3時) (
レス) id: 66c14fc432 (このIDを非表示/違反報告)
こもね(プロフ) - はじめまして。西瓜さんの細かく的確な描写が大好きでいつも楽しみにしています。狂想共に更新頑張ってください！＾＾ (2018年5月16日 18時) (レス) id: b89f9c806b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：西瓜 | 作成日時：2018年4月20日 21時
