幸せな家族のはなし３ (ページ9)

今日:3 hit、昨日:9 hit、合計:153,324 hit

［３］夏の始まりページ9

雅紀side

「はい和！」

「はーい、雅紀にぃっ」

「はいはい！潤っ……あー！ごめん！」

「もーちゃんと飛ばしてよー。笑」

はしゃぐプールの中。

ふよふよ浮きながら
楽しんでいるのはビーチバレー。

実際にバレーするとなると人数が足らないから
和と潤の3人でパスし合うだけだけど。

目標は20回！

だったんだけど、これが
なかなか上手くいかなくて。

特に和と潤は背がまだ成長期だから
深いプールだと足があんまりつかないみたい。

和なんてほとんど首まで浸かっちゃってる。笑

「雅紀にぃー、ちょっと休憩！」

ほらやっぱり。

そろそろ疲れてきたみたいで
和が体の力を抜いて水面へ浮き始めた。

「よーし！じゃあ終わり！
ジュース飲もう！」

「やった～！」

俺の言葉に賛成した双子ちゃんは
ゆっくりと端まで泳いでプールから上がる。

すんなりとプールサイドへ上がった潤は
ビーチボールを直してジュースを取りに。

案外バテてた和は上がる力がないのか
「雅紀にぃ～」と手を伸ばしてきたから
笑いながら引っ張って上がらせた。

「和、これタオル」

「んー。ありがと」

プールサイドに寝転んだ和にタオルを差し出すけど
目をつぶったまま、受け取る気はない。

「和ー？ターオールー」

「待ってー、今重力と戦ってんの」

「ああ。
重いってこと？」

プールから出ると途端に体が重くなるもんね。

それにずっとプールの中で遊んでたから
体力も消耗してるだろうし。

「よし！
じゃあ俺が拭いてやる～！」

「ぶあっ！んん～！」

「あひゃっ♪
おりゃおりゃおりゃ～！」

されるがままの和はなんだかわんこみたいで
思わず動かしてた手がどんどんヒートアップする。

「もーいいー！」

「まーだー！おりゃあー！」

ぐしゃぐしゃに髪をかき混ぜていれば
和は「くふふっ」って柔らかい声を出して
俺から逃げようと体をよじった。

だから俺も負けじと追って、
最終的にはタオルも放り投げて
和のほっぺたをグリグリ、グルグル。

結局。

「持ってきたよー、って。
ふたりとも、何してんの？笑」

カチンッといい音を立てて
ジュースを持ってきてくれた潤が
俺たちを発見するまで続いた。