幸せな家族のはなし３ (ページ3)

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［２］変わらない人ページ3

智side

「よーし、みんな行くよー！」

「はーい」

ハイテンションな雅紀が
エンジンをかけて車を発信させた。

助手席にはゲームを片手に和が
カーナビをセットしていて
後ろには俺と潤、そのもう一つ後ろに翔が座る。

ウィーン

「あのワイパー動かすの
止めてもらっていいですか」

「あっ間違えた間違えた！」

「おいおい大丈夫かよー。笑」

楽しげに出発した車の中は雅紀を1番に
弟達はみんなテンションが高い。

いや。

昨日の夜に準備してたときから
もうこの調子だったか。笑

けれど、みんながここまで
楽しんでいるのにはちゃーんとわけがある。

なんたって今日は半年に1回。

今まで欠かしたことはない、
俺達の大切な人に会う日だから。

「和、ほいジュース」

「ありがとー。雅紀にぃここ置いとくよ」

「はいはーい」

これから長時間あるはず道のりに
止まらない弟達の談笑が流れていく。

そんな中でちらりと静かな後ろを見れば
熟睡中の翔の姿。

昨日0時に帰宅した翔は何かしていたのか、
結局寝付けたのが3時頃だったと朝に言ってた。

だからだと思う。

完全に寝不足の翔は雅紀達の少し大きな声にすら
反応せずに、すやすやと寝息を立てていた。

「あ、ごめん、うるさい？」

「え？ああ、大丈夫だと思うよ」

俺と同じように翔を見つめた潤に
ニッコリと微笑んでやる。

多分1時間後くらいにあるパーキングエリアに
着けば起きるだろうし。

だからそれまでは寝かせてあげよう。

「じゃあ雅紀から始まる古今東西ー！」

「急だなっ」

それからは突如雅紀によって始まった古今東西。

勝手に参加になっていた俺は何も浮かばず
あまりのポンコツぶりに弟達に笑われることに。

「雅紀にぃそんな地名ないよー」

「えぇー？なかったっけー！」

「あと微妙にリズムちがーう！笑」

「あひゃひゃっ、難しーい！」

……思うんだけど、俺と同じくらい雅紀も
なかなかポンコツじゃない？笑