幸せな家族のはなし３ (ページ20)

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［５－２］ページ20

智side

「智にぃ！これ食べた？」

「あ、オマール海老？
まだ食べてない」

「あぁじゃあ食べなっ！美味しいから！」

未成年だからアルコールも入ってないくせに
この場のテンションに触発されてる雅紀は
さっきからずっとニコニコしっぱなし。

その上、若干だけど汗までかき始めてるから
笑いながら髪を耳へ掛けてやる。

それからすでにお皿へ分けて入れてくれてる
オマール海老と向き合うようにお箸を持って。

一口サイズに切られたオマール海老を
ぱくり、と口へ頬張った。

うわっ。

「あっちゃ～……！」

「んふふ！美味しいでしょっ？」

「美味しいぃー！」

すぐに顔を上げて目を閉じれば
雅紀が楽しそうに覗き込んでくる。

だから俺も雅紀のテンションに乗せて
「美味しい」と高めに言って。

「あーこれやばぁ……」

美味しすぎるオマール海老を堪能するように
すぐさま2つ目を放り込み、ビールを煽る。

あーこれはほんとに美味いわ。
それにめちゃくちゃビールに合う！

香ばしいオマール海老はその風味が鼻腔を刺激し、
引き締まったぷりっぷりの身は甘みもあって
どんどん幸せな息が零れていく。

「智にぃ、ここも食べて食べてっ」

「うわ、絶対美味しいよ」

雅紀がオマール海老の頭をほじくれば、
絶対的な美味しさが分かるミソが現れた。

だから俺はそれを待ちわびるように
口を開ければ、流れるようにミソが運ばれて……

「あ～っ、美味い！」

「でしょー！」

思わず手を上げれば分かっていたように
雅紀も手を上げていて、パチンと重なる。

それから熱い握手をしたまま噛み締めれば
ずーっと幸せが続いて、美味しさに思わず笑った。