幸せな家族のはなし３ (ページ15)

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［４－２］ページ15

潤side

「よいしょ」

油をひいて熱したフライパンへ
トマトパスタで残った唐辛子と
細かく刻んだにんにくを投入し、
じっくりと揚げていく。

そうしてにんにくが
きつね色になったところで
殻を剥いておいた海老やホタテを投入。

味付けはシンプルにオリーブオイルと塩のみで
魚介の旨みが出るように味見をしながら味を整える。

「出来た！」

「あ、智にぃ出来たの……うわ、豪華！」

「ちょっと凝っちゃった～」

キッチンの火元へ行っていた俺の背後から
聞こえた満足気な声に振り返る。

そしてふにゃりと笑った智にぃの手元を見ると
旅館で見たことがある刺身の盛りつけが。

マグロ、ハマチ、イカ、タコ、
赤貝、アワビ……と見事なものだ。

事前に買っておいた魚介類も少しさばいてる。

トレーに残った魚は、多分向こうで
焼いて食べるんだと思うけれど。

「美味しそ～……」

「ん、ありがとう。
あっ、潤のも、凄い美味そう！」

覗き込んできた智にぃは
トマトパスタのソースが煮立つ鍋と
海鮮ペペロンチーノのソースが入るフライパンを
交互に見つめて口角を上げた。

「味見してみてよ」

「いいの？」

「ん」

それぞれをすくったスプーンを渡して
智にぃに食べてもらう。

まずはトマトの方。

今回はバーベキューもあるから
酸味のあるサッパリめなトマトソースにして
軽めにモッツァレラチーズをトッピングするつもり。

「あ～美味い！」

「じゃあ、こっち」

智にぃの反応に
トマトの方は合格サインを出して
次は海鮮ペペロンチーノ。

こちらもシンプルな味付けしかしていないから
海鮮の良さを引き立てているとは思う。

「あっ、俺これ好き！」

「ほんと？良かった」

反応良く、くしゃっと笑った智にぃに
嬉しくてつい口元がにやけてしまう。

それからニコニコと智にぃは
「本当に美味しいな～」ってずっと言ってくれて。

それも数分間ずっとよ？

本当にずーっと褒め倒してくるから
さすがに俺も照れてきちゃって。

「もう、分かったから！
ほらパスタ上げるからどいてっ」

「んははっ。潤はかわいーなー♪」

照れ隠しに智にぃから背を向ければ
後ろで甘さを隠せてない声が降ってくる。

それからあろうことか急に俺の頭を撫で始めて。

「ちょ、今は止めてよ！」

「潤、顔赤い。笑」

「智にぃ！」

「ごめんごめん。今は、止めとくね？笑」

「っ～！人の揚げ足を、取んなぁ！」

「んふふっ♪」