幸せな家族のはなし３ (ページ11)

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［３－３］ページ11

雅紀side

「ねえ、なにニヤニヤしてんの」

「乾杯するよ？」

「え？ああ！乾杯しよう！」

もうすでに乾杯前の和と潤。

それに気づいた俺は慌ててプルタブを開ける。

危ない危ない。

気をつけないとつい口元が緩んじゃうや。

あんまりニヤつき過ぎると
双子ちゃんからの冷たい目線が怖いのに。笑

「よし！
じゃあ、かんぱーい！」

「かんぱーい！」

「かーんぱーいっ」

カチンッと缶同士を鳴らせば、
それはつかの間の休憩。

3人で勢いよくりんごジュースを
グイッと煽れば、「ぷはぁ」っと
にぃ達の真似をするように声が出た。

「あ～美味しい！」

「んーまい！」

「ん。いいね」

冷たくて甘い、果肉も入っているそれは
少しの酸味がありつつ、暑い今日にほんと
ぴったりなジュース。

これは確か買い物のときに
潤がチョイスしたんだと思う。

当然、すごく美味しくて、外れはなしだ。

「ふ～。あっ、ねぇ！この後どうするっ？」

「んー、智にぃと翔にぃと叔父さんは
忘れてたの買いにスーパー行ったしな……」

俺が双子へ向けて問いかけると
潤が青空へ顔を上げながら悩んだ様子を見せる。

だから俺も何かないかなーって探そうとしたとき。

「あのさ、俺ね、
ちょっとやりたいことあるんだけど」

控えめに、意外なところから声が上がる。

パッとその方を見れば和が
りんごジュースの飲み口を口に当てて
上目遣いにこちらを見つめてて。

「なになに？」

「……あのね。実は」

少しだけ照れながら、
それでも目をキラキラさせて
話した和の提案は予想外のことだった。

でもその提案の意図をすぐに理解出来た
俺と潤の口角はみるみる上がっていって。

「やろう」

優しく笑い、ワクワクが混じる2つの声が、
ぴったりと重なって、発案者の和へと届けられた。