幸せな家族のはなし３ (ページ29)

今日:1 hit、昨日:3 hit、合計:153,303 hit

［７－２］ページ29

潤side

「ね。今のところ誰持ってると思う？」

「叔父さん」

「うお、即答」

ババ抜きも中盤。

みんなカードも少なくなってきていて、
今は叔父さんの手札を智にぃが引く番。

そんなとき、俺の質問にサラッとぶち込んだのは
持っているカードが一番少ない和だった。

「なんでなんで？」

汗をかいてる雅紀にぃが真剣に和へ問いかける。

少しでも考える材料がほしいんだろう。

それはみんなも同様。

智にぃも叔父さんの手札を
一旦引くのを止めて、和へ耳を傾けた。

「なんでそう思うの？」

「だってさっきからずっと深呼吸してるから。
それ、叔父さんがテンパったときの癖でしょ？」

「……俺、叔父さんは
大丈夫だと思って引いてたんだけど」

「んーん。智にぃが全部ジョーカー避けてるんだけ。

だから多分最初から叔父さんがジョーカー
持ったまま動いてないと思うよ」

あくまでも予想として聞いた質問だったのに
和は確信しているように断言する。

「あとまあ……単純に前後が悪いよね。
智にぃが引いてないの分かるし、
雅紀にぃの最初の様子見てたらババ持ってないし」

冷静に話しながらも全員の顔を見渡し、
自分の仮説を確信へと持っていく和。

いやぁ……相変わらずすげぇー……

洞察力っていうの？
昔からキレっキレなんだよな。和って。

ずっと変わんないんだよなぁ。

「これが俺の考えだけど。
どうですか？叔父さんっ♪」

「あー和ってば可愛いのに怖ぇーよぉー」

和がニッコリとアイドル顔負けのスマイルを送れば
ガックリと項垂れる叔父さん。

どっちかっていうと嘘が下手な雅紀にぃと同じ
叔父さんは図星だったのか、意気消沈しそう。笑

「えぇ……俺それ聞いて引くの？」

何故か同じようにダメージを受けている
智にぃが叔父さんの差し出されたカードを見つめる。

それからしばらくは沈黙の間。

智にぃ……どれ引くんだろ……

その思いでみんなは叔父さんの手札と
智にぃのカードに触れる手を交互に見ている。

さっき。

確かに和は叔父さんがジョーカーを持っていると
言ったものの、それがどこにあるかは言ってない。

つまり、警戒するしかない。

「じゃあ、これっ！」

「お」

ゆっくり、綺麗に
叔父さんからカードを引いた智にぃ。

それを手札へと加えて認識した瞬間
微かに眉を下げて笑い、すぐさま和を見た。

「いやいやジョーカー引いてんじゃないよ！！」

「ごめぇ～ん。笑」