幸せな家族のはなし２ (ページ8)

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［１－８］ページ8

翔side

「じゃあ布団敷いとく」

「ありがとう。お願い」

智にぃからOKをもらってリビングへ戻る。

体温計はまだ鳴っていないのか
雅紀の肩に頭を置いてくつろぐ和の姿。

その間、雅紀は何も言わず、
ただただ和の重みを受け止めてる。

もしかして、雅紀ちょっと拗ねてるか？

……いや、落ち込んでる？

ふぅ、と雅紀のため息が微かに聞こえた。

和に反抗されたから……

いや。

納得のいく説明を上手く出来なかったから……、
その方が理由としては合ってそうだな。

どちらにしろ和は雅紀に対して特に天邪鬼だから
素直に頷けない部分がある。

だからこういう時は俺の役割なんだけど。

やっぱりちょっと落ち込んでるみたい。

「雅紀にぃ」

どうやって声をかけようかと思っていれば
不意に和が雅紀へ顔を上げる。

「ん？」

「あのさ」

ピピピッ

「あ、鳴った」

「……うん。何度？」

「37.7度。
それで？何か言いかけてなかった？」

「いや……。早く、潤のとこ行きたいなって」

「そっか。じゃあ潤のとこ行こう」

なんというタイミングなのか。

鳴り響く体温計に気を取られて
和と雅紀の会話が終わる。

もしかして、という可能性はあったのに。

けれど雅紀はすっかり気持ちを切り替えて
和を見ながらソファーから立ち上がった。

仕方ない。

ここは俺があとで雅紀に……