［５−９］ ページ49
智side
「ん……」
眠る前よりも暗い辺りに、
ぼーっと目を開けた。
あれ……今何時……？
昼寝、といっても随分と遅い昼寝、
それから随分と時間が経ったように思う。
いつものくせで手探りに辺りを触るけど
自分の携帯は見当たらない。
「……あ。そうか」
覚めてきた意識に、
ふと和の姿を見つけて自分の携帯も
リビングに置きっぱなしだと思い出す。
にしても。
ちょっと強引だったけど、和も結局寝たんだ。
俺が寝たら勝手に抜け出して
ゲームでもしてると思ったのに。笑
「かぁず」
かなり熟睡しているのか
俺に腕枕されて抱きついたままの和は
まだ眠っているみたいで起きる感じはしない。
ふにふにとほっぺを触ってみても
可愛らしい寝息を立てているだけだ。
この時間からあんまり寝ちゃうと
夜眠れなくなっちゃうんだけどなぁ……
しばらくはほっぺをつまんでみたり、
俺の服を掴んでいたまぁるい手を握ってみたけど
無防備に和は俺にされるがまま。
「もうちょっとだけ寝かせておこうかな」
和のこんな姿は滅多に見れない。
だから珍しい姿を起こすのが
少しだけ勿体ないんだ。笑
上半身を起こしながら、和を起こさぬように
そーっと腕を外す。
「んー、はぁ」
少しだけ体を伸ばして、眠気を取り払って。
最後にあどけない寝顔を見せる和の頭を
撫でたあと、静かに布団から抜け出した。
しかしその瞬間。
離れた俺を察知するようにもぞっと
和の体が動き始めた。
「和？」
いなくなった俺のスペースに手がさまよう和へ
近付くようにしゃがんで声をかけてみる。
すると、またモゾモゾと体を動かしたあとに
ゆっくりとまだ眠たげな瞳が現れた。
「さと、にぃ……？」
「うん。おはよ」
寝ぼけた可愛い和の頭を撫でながら、
「まだ寝てていいよ」と声をかける。
すると和は「んーん」と首を振って
頭に置かれた俺の手を握った。
「俺も起きる……」
「起きるの？」
「ん……智にぃと一緒に行く」
目を擦った和はあくびをしながら体を起こす。
俺も和に手を貸して、同時に立ち上がった。
「じゃあ行こ。
多分雅紀と潤帰ってきてるよ」
「ん。智にぃ」
和の手を引いてやって和室を出ると、
ぴったり俺に引っ付いて後ろを歩く。
なんか、小さい頃を思い出すな。
昔もこうやって俺が行くところ全部に
和はずーっとくっついてきたっけ。
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作者名：あやりゅ。 | 作成日時：2019年6月19日 0時
