［２−１１］ ページ21
翔side
「んん……っ」
ぼんやりしていた意識が浮かび上がって
ゆっくりと目を開ける。
そこに映るのは見覚えのある天井。
家、か……
着いたんだ。
雅紀が運んでくれたのかな……？
「翔？ 起きた？」
「ん……」
ぼーっとしていれば不意に呼ばれた名前。
ゆっくりそちらへ顔を向ければ
何かを持っている智にぃが映った。
「あ……智にぃ……」
「これ薬。飲んでなかったでしょ？
カバンの奥からパッケージが潰れて出てきたよ」
ふにゃっと笑って薬と水を渡してくれた
智にぃは優しく俺の頭へ手を置く。
「気持ち悪い？」
「ちょっとだけね……
けどだいぶマシだよ。寝てたみたいだし」
「そっか。よかったよ。
翔、帰ってきたときぐったりしてたんだから」
心臓に悪い、と少し唇を尖らして
置いていた手を頬へ移動させる。
なんか……優しいな……
少しは怒られると思ってたのに。
これじゃ雅紀にワガママ言ってた
俺が子供みたいで困る。
……ちゃんと
謝っておかなきゃダメだよな。
「……智にぃ」
「ん？」
恐る恐る智にぃの顔を見上げると
優しい表情のまま首を傾げてる。
「その……
ごめんなさい」
寝てるままだから顔だけだけど
頭を下げる。
約束破って、連絡忘れて、心配かけて……
色々なごめんなさいを込めて、頭を下げた。
すると智にぃはふふって何故か笑って
「本当に心配した」って、困った顔。
「……ちゃんと、休んで治す」
「明日も？」
「うん。約束、だから……」
智にぃに迷惑かけちゃったんだもん。
ここは素直に。態度としても誠意を見せなきゃ。
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作者名：あやりゅ。 | 作成日時：2019年6月19日 0時
