［２−８］ ページ18
翔side
コンコンッ
「翔にぃ！」
「ん……」
突然、助手席の方の窓から
誰かがノックする音。
閉じていた目を開ければ助手席側から
寝転んでいる俺を覗き込んでいる雅紀がいた。
それを見て、ダルい体を何とか起こし、
控えめな音を立てながら車のロックを解除する。
ガチャ！
「翔にぃ、大丈夫っ？」
「ん……ごめん……」
「あちゃー、顔色悪いね……早く帰ろっか」
ニコッと笑った雅紀は助手席へ乗り込んで
俺を支えながらそっちへ移してくれる。
それから助手席へと移った俺の座席を倒して
雅紀は運転席に乗り込んだ。
「よし。じゃあ出すよー」
「雅紀……ほんと、ごめん……」
「んーん。心配したけど、こうして電話くれたし。
俺には謝ることなんてないよ」
……俺には、か。
雅紀の言葉は遠回しに意図を告げられた気がして
俺の気を重くさせてしまう。
いや、自業自得なんだけど。
「ねえ」
「んー？」
「……怒って、た……？」
あえて誰がなんて聞かない。
恐る恐る雅紀の顔を見れば
苦笑いのまま前を向いて運転をしている。
「そうだねぇ。俺が迎えに行こうとしたとき
凄い形相だったかも。笑」
「う……」
やだなー……
智にぃに会うの怖い。
そりゃあ全部ほっぽり出した俺が悪いけど。
でも怒ってる智にぃめちゃくちゃ怖いんだもん。
ちゃんと反省はしてるから謝るつもりでも
まだ智にぃの顔を見れる度胸はない。
あー……気持ち悪い……
手が冷たい……頭もガンガンする……
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作者名：あやりゅ。 | 作成日時：2019年6月19日 0時
