［２］無理した貧血(次男) ページ11
翔side
コンコンコン……
カチャリ
「あ、翔、おは……えっ、ちょっと大丈夫？！」
「ん……おはよ……」
朝、ドアを開けて智にぃに言われた第一声。
その後すぐ壁にもたれて
座り込む俺へ駆け寄る。
「顔色悪いけど、貧血？」
「ん……」
無意識なんだろうが、俺の顔をじっと見つめる
智にぃの顔が怖い。凄い眉が寄ってる。
やっぱり相当顔色悪いんだな俺。
いや、これで平然としてたらおかしいか。
「うう……」
指先が冷たくて、思わず握りしめる。
それは、
起きた時からもう最悪だった。
眠る意識が夢から浮上して目覚めた瞬間、
すでに頭がグルグルして、体の怠さを感じていて。
これはマズいとすぐに
貧血に効く市販の薬を飲んだけれど
すぐには効かなくて結局智にぃに見つかった。
起きてすぐは寝ぼけてたこともあって
少しだった気持ち悪さも、目が冴えた今は
モヤモヤして目を開けているのも辛い。
「薬は？」
「飲んだ。
多分、もう少しで効くと思う……」
「そっか。とりあえずベッドに戻ろう」
智にぃが座り込んでいた俺の体を持ち上げて、
ベッドへ移動してから横になるように支えてくれる。
やっぱり寝転んでる方が楽か。
グルグルする目元へ腕を置いて智にぃが出ていく
気配を追いながら目をつぶった。
「雅紀ー？」
ガチャ
「ごめん雅紀、
ちょっと翔がね……」
ドアを開けっ放しにしているせいで
聞こえてくる智にぃの声。
俺の代わりに雅紀に
双子を頼むつもりなんだろう。
なんか、申し訳ない……。
雅紀も昨日夜のシフトで疲れてるだろうし
今日だって朝から仕事のはずなのに。
俺がこんなだから
頼むハメになったんだもんな。
……ん。ダメだ。気持ち悪い。
少しネガティブな思考に入ってしまったからか
気持ち悪さが胸元をせり上がってくる。
頭もボーッとして
無意識に口呼吸していた口内が乾き始めた。
あー。早く薬効いてくれ……
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作者名：あやりゅ。 | 作成日時：2019年6月19日 0時
