［４−７］ ページ37
潤side
「ただいまー」
なかなかの時間が過ぎてすでに暗い外から
俺たちの家の中へはいる。
「はぁー……大変だった……」
「真面目な子で良かったじゃん。笑」
「いや、あれは真面目すぎるって……」
「ふーん。笑
潤が言うなら相当だね？」
診察が終わったあと、これでもかというくらい
相手高校の選手から謝罪を受けた。
そりゃもういいよって
言っても引かない真剣な謝罪をね。
んで診断の結果はやっぱり脳震盪で。
幸いなことに頭も骨も危ない外傷はなくて
そこそこ痛いたんこぶが出来たくらい。
ただかなりの強さでボールが当たったから
一応安静に、頭を揺すらないように言われた。
「潤、靴脱げる？」
「ん。大丈夫」
怪我や病気になるとやたら過保護度が
上がる智にぃは靴を脱ぐことさえ心配する。
心配してくれてるのは凄く分かるんだけど
こういう所を見るとやっぱり他の家より
ちょっと過剰だなって思っちゃうよね。笑
有難いんだけど。
それから荷物を智にぃに
持ってもらって玄関へ上がる。
するとリビングが勢いよく開いて
そこから雅紀にぃが飛び出してきた。
「おかえり！ 潤！ 大丈夫だった？！」
「おお……ただいま雅紀にぃ。
うん、大丈夫だったよ」
「脳震盪も軽いし、頭にこぶができちゃったけど
それも1週間くらい経てば治るってさ」
「そっかぁ〜……はぁーよかった……！」
ホッとした表情で笑う雅紀にぃに
なんだか安心してこっちまで笑ってしまう。
「ご心配をおかけしました」って言えば雅紀にぃが
ハッて顔をして、少し強めに俺の手を引いた。
「あれ、ねぇリビングは？」
「んーその前にね？
ちょっとこっち来てほしいんだよね」
「え、なに？ ……和室？」
雅紀にぃが俺と智にぃを
優しく連れてきてくれたのは和室だ。
そして先を行く雅紀にぃが
襖をそっと開けてくれる。
すれば布団に翔にぃが横たわってる背中が
見えたもんだから俺はすぐに声を上げた。
「えっ、翔にぃっ？」
「ん……っ
……あ、潤……おかーり」
「え？ た、ただいま」
俺の声で反応して顔をこちらへ向けた翔にぃは
若干寝てたのかボーッとしていて反応が薄い。
そしたらモゾッと翔にぃの向こうで
誰かが寝返りを打ったのが見えて。
俺が確認するように和室へ入れば
寝ぼけた翔にぃの腕の中にいたのは和の姿。
すやすやと眠っているけれど、疲れてるのか
俺達の音にも反応せず寝息を立てていた。
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作者名：あやりゅ。 | 作成日時：2019年6月19日 0時
