櫻と葉っぱの栞 A ページ5
「あぁ〜、美味そう」
「ねー。はい、翔ちゃん」
「ありがと。
いただきまーす」
「いただきまーす」
割り箸を渡して、一緒にいただきますと声を合わせてからまずはお互い注文したラーメンを堪能する。
俺の頼んだ味噌ラーメンは野菜がたっぷり入っていて味噌の風味が出汁と上手く溶け合い、細めの麺とそれは抜群に絡みあっていた。
「あ、美味しい！」
「うめぇ〜」
ほとんど同時に告げた美味しいにまえをむけば、口へリスみたいにいっぱい詰め込んで目をつぶり、舌鼓を打つ翔ちゃんが居る。
それを見た俺は彼と来れて良かったと頬が上がった。
緊迫状態が続きようやく終わった仕事帰り、疲労した体に深夜のラーメンはこんなにも染み込むものなのか。
2人して黙々と食べ続け、半分程のところで、お互いのラーメンを交換した。
「あ、こっちも美味いね！」
「この醤油もうまぁい！」
味噌よりはさっぱりしている醤油はカツオや醤油出汁そのものの素材が生かされており、縮れ麺に絡む度次へ次へとお箸が進んだ。
ー
「はぁ〜、美味かったぁ」
「ここいいねぇ。また来よ」
あっという間に平らげた俺達は居座るのも程々にお会計をして店を出た。
今はかなり復活した翔ちゃんに運転を変わってもらい、俺達の家へと帰る。
車には深夜にやっているラジオを流したまま、お互いの会話に花を咲かせていた。
『それでは3時台最後はこの曲でお別れしましょう。みんな、またねっ』
〜〜〜〜〜♪
静かに小さく会話していたのが途切れた時、柔らかな前奏から少し高めの男性の歌声が入ってきた。
そこから力強くもあるメッセージと共にサビであろうメロディーが何人かで重なった歌声で流れ始める。
♪きっと正解ひとつじゃないから
……なんか、この歌いいな。好き。
「この歌、好きかも」
「あ、翔ちゃんも？ 俺も今思った」
「いいよね」
「うん」
聞こえてくる限りの歌詞は今の俺達には案外遠いものではなくて、つい入りやすいメロディーと共に耳を傾けてしまう。
帰ったらこの歌ちゃんと聞いてみよう。
それからみんなにも教えて、今度歌ってみたいなぁ。
外を見ればまだまだ夜の時間が明けることはない。
向こうに着く頃には朝日が出ているだろうか。
そんな事を感傷的に思いながら、俺は隣に居る翔ちゃんと共に流れてくるその曲を聞きながら、帰るべき場所へと思いを馳せた。
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あやりゅ。(プロフ) - えべすさん» えべすさん！コメントありがとうございます(^▽^)oとても嬉しいご感想、これからの励みにもなります！この先も遅い更新だとは思いますが、頑張ります！ (2019年5月1日 20時) (
レス) id: 9eb6dfdccb (このIDを非表示/違反報告)
えべす - とてもワクワクしながら読んでいます。大変だと思いますが､尊敬しております(^^)v (2019年5月1日 10時) (レス) id: 0ca7106291 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あやりゅ。 | 作者ホームページ：http://ayaryu
作成日時：2018年7月5日 2時
