飛抹屋 part2 (ページ35)

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兄の過去ページ35

雄也side

物心付く頃から俺と涼介は｢鬼｣という存在を認識していた

ただ、当時はそれがどういう物なのか、ハッキリとは分かっていなかった

だから両親には内緒で、人間界へ運良く辿り着いたある｢鬼｣とよく遊んでいた

そいつは、皆が恐れる程怖いものでは無い、ちょっとしたイタズラはあるけど基本良い奴。

……

ある日、俺はいつも通りその｢鬼｣と遊んでいた時だ

突然、そいつは変な事を言い出した

((…雄也は、鬼は何があっても鬼だと思うか？))

｢ん？どういう事？｣

((…、いや、忘れてくれ))

｢……？う、うん｣

そんな変な事を聞いてきたあいつは、ある日突然居なくなった

そして、入れ替わりのように神社にやって来るようになったのが天道将鬼だった

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天｢どうしても、ダメですか？｣

涼介と遊び終わった後に廊下を歩いていたら聞こえた声

また、父さん母さんの勧誘に来てるのか？

そう思い込んだ俺は、ビシッと言ってやろうと思い障子の扉を開けた

｢なあ！あんたしつこ…っ！｣

その場の空気に飲み込まれそうになった

天道の気と父さん母さんの気が対立している瞬間だったんだ

俺の乱入により、3人共すぐに普段の雰囲気に戻った

母｢どうしたの？雄也｣

母からの優しい問いにしどろもどろしてしまい、そのままその部屋から立ち去った

父さん母さんの気も凄かった、けど、あの天道ってやつ、あいつの気は不気味で鬼に似ていた

そして、その奥深くからは殺気も感じられた

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涼介を寝かしつけている時に父さんと母さんに呼び出された

そして言われた事、

父｢雄也、もし俺達に何かあった時の為に、これを渡しておく｣

そう言って父から手渡されたのは紅色の柄に紅色の紐で留められている日本刀だった

｢ぇ、これ、は？｣

父｢名前は阿修羅、村正よりもずっと前からこの家に伝わっている刀だ｣

母｢それと同時に、鬼でもあるわ｣

｢え、鬼？｣

父｢そうだ。お前、鬼と遊んでいただろう？だからそんなに心配するな｣

知ってたんだ

母｢とにかくね、この子と一緒に涼介の事も守ってね｣

これが、両親との最後の約束だった