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｢うわぁ、広いね！｣
｢なんか和室に泊まることってあんま無いから新鮮だな！｣
広い和室。古風な感じが私たちの心さえも落ち着けてくれる。
｢ここ、部屋に露天風呂ついてるけど一緒に入る？｣
｢ふふっ、竜生が入りたいんじゃん笑｣
｢せーかい笑｣
って結局、竜生のせいで２回入ることになったことは私だけ秘密にしてあげる。
布団が擦れる音。
なんとなく目を開ければ、綺麗な顔の竜生と目が合う。
｢ん、まだ寝てなかったの？｣
｢んー？かわいい顔してんなって思って｣
恥ずかしくなって布団を口元まであげれば｢なんで隠すん笑｣ってすぐに力づくで剥がされる。
｢竜生寝れないんだったら外の空気でもすいにいく？｣
｢A身体しんどいだろ｣
｢んーん、大丈夫だよ｣
真夜中の2時。竜生と過ごす時間はいつもまったりしている。
さざ波だけが響く夜空。
｢うわぁ、海風やっぱ寒すぎる笑｣
って結局部屋に戻って海が見える窓を開けて横並びに座った。
そういうところが竜生っぽい。変に気取らないところ。
無言の時間が暫く続いた。
｢Aはさ、今しあわせ？｣
｢当たり前でしょ？だって竜生といれるんだもん｣
｢俺もAといれんの超幸せ｣
「なぁ、2人で初めて見た映画覚えてる？」
「覚えてるよ」
「あれさほんとにしちゃっていいのかな？」
分からなかった。竜生の言いたいことが。
いつも竜生が言う言葉は難しい。到底馬鹿な私には分かりっこない。
「どういう意味？」
そのままガラス越しにあった私の目を捉えれば優しく笑いかけた。
「一番好きな人と結ばれる可能性低いってやつ」
その言葉にドキンと心臓が大きく揺れたそんな気がする。
「なんでよ笑、私の一番はもう…」
「んーん、違うよ違うの。Aはちゃんと湧くんが1番なんだよ。俺はAのなかでこの人と生涯を終えれるやって人なんだよ。自分で言うのも悲しいけど俺はAの特別にしかなれなかったんだよ。」
合ってた視線は逸らされて、目に入るのは竜生の背中だけになった。
「そんなこと…」
「あるよ。それにもうAはちゃんと1人で歩ける。もう俺は必要ないでしょ？？前に言ったじゃん？俺が大丈夫って思うまでそばに居たいって。もうAは大丈夫だよ。｣
ううん。違うの違う。
｢ほんと泣き虫だな、笑｣
今、優しい笑顔で笑うなんてズルいよ。
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作者名：にゃん | 作成日時：2023年3月23日 18時
