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｢Aー、起きろって｣
揺れ起こされる体に自然と目が開いてきて、揺らした張本人を見ると寝癖がついたままの髪で彼氏じゃないのかと錯覚してしまう。
｢おはよ、わく｣
｢はよ｣
案外遅刻はしない主義な真面目な湧は毎日朝に弱い私を起こしてくれる。もちろん別々の家にいても電話で起こしてくれるのがいつものルーティンだ。
｢ほんと朝弱いな、｣
｢だって今日天気悪いじゃん、｣
｢まぁ、そうだな｣
ってカーテンから覗く空は雲でいっぱいで今日はなんか憂鬱だなと思いながら、大学に行く準備を始めた。
｢A、湧くんおはよー｣って後ろから間延びした声で挨拶をしてきた深田。
｢あれ、2人は？あいつらも一限じゃないっけ？｣
｢うっちーはギリギリの電車で来て、黒ちゃんは音信不通笑｣
｢絶対寝てるやつやん笑｣って笑う湧。
｢Aは？二日酔い大丈夫なの？｣
って眉を下げて聞いてくる深田も相当私に甘い。
｢んー、若干？笑｣
｢ダメやん、今日バイトでしょ？大丈夫なん？笑｣
｢まぁーそれまでには気合いでなおす笑｣
｢願ってなおるわけじゃないから笑｣
ってくだらない会話が毎日を彩って楽しかったりする。
特にこの2人は学部が一緒だから行動を常に共にしていてなおかつ深田は同じ居酒屋のバイトだから多分1番会う機会は多いのに、
プライベートを含むとなぜか湧が1番なんだよね。
｢湧くんは今日バイト？｣
｢俺今日はフリー！颯太達もフリーだったら久しぶりにむさ苦しく男だけで呑むか！｣
｢えぇー、仲間はずれだ｣
って口をムスッとさせると、｢バイト終わる頃に迎えに行ってやるから｣ってほっぺを人差し指で指してくる。
｢やった｣
｢ほんとお前かわいいな｣
かわいいと言われた私の顔はきっと赤いはずだし、深田を見ると目を合わせてにこにこしてくる。
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作者名：にゃん | 作成日時：2023年3月23日 18時
