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「みんなに嫌われて当然だね、っ」
そう綺麗に涙を流すAさんのことが羨ましかった。
はじめて大学で見つけた時に私の目を奪ったんだから。
すれ違った時に振り返りたくなるような匂いに艶っとした髪の毛、後ろ姿でも私のことを惹き付けるのには一瞬だった。
かわいくて綺麗でいつも笑顔で男の子に囲まれていて、同い歳の男子もAさんが可愛いって騒いでいて、
正直男たらしなんだろうなってそう思った。
でも、同い歳の男子がAさんガード固すぎって話してるのを聞いて、
この人は人のことを自然と惹き付けれる素敵な人なんだなってまだ子供だった私は更に魅力的に感じた。
湧くんの彼女になってAさんと友達になれるかなってちょっとばかりの期待もしたし
正直嫉妬もした。
湧くんの特別も深田先輩の特別も全部Aさんで、
私に無いもの全部を持っているくせして
鬱陶しいくらい優柔不断で、自分に自信がなくて腹もたった。
でも、嫌いになれないの。
口では大嫌いって言ったけど目の前で拭っても拭ってもこぼれ落ちる涙を流してるAさんのことを
放っておけなくて、知らぬ間に手を引いて抱きしめていた。
「みりちゃん、っ？」
Aさんはやっぱりふわっと香るいい匂いがした。
「私も、最低なんです。
湧くんが私のこと好きじゃないって分かってました。
湧くんのインスタに載るAさんにも気づいていてそれでもいいって湧くんの傍に入れるならそれでいいって告白しました。
私も狡いんです。湧くんの気持ちを利用するような事して、
Aさんから湧くんを奪ったんです。
だから私はAさんの幸せを奪って、
Aさんに嫌われて当然なんです。」
腕の中でぶんぶん首を振るAさんが凄く愛しく思えてこの人には幸せになって欲しいってなぜかそう思った。
「私はAさんには誰よりも幸せになって欲しいです。
Aさんは素敵な人です。もっと自分に自信を持ってください。」
強く抱き締めた私の背中にまわったAさんの手に不覚にも嬉しくなった。
「もう逃げないでください。私も逃げないです。」
私たちはお互い似たもの同士なのかもしれない。
傷つけて傷ついて、自分の気持ちを知らぬ間に溢れ出してそんな自分を見逃して逃げた。
そっくりなあなたに私は幸せを願う。
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作者名：にゃん | 作成日時：2023年3月23日 18時
