過ぎる恋に離す時期は ページ34
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｢深田｣
後ろから呼びかけられた久しぶりに聞いた声。
そしてAと付き合ってからちょっとだけ避けていた人物。
｢湧くん、｣
｢お前、俺のdm無視してるだろ、｣
湧くんから最後にインスタのdmにきた
｢深田Aのこと好きだったけ？｣だけ書かれたメッセージを思い出した。
｢してないよ、忘れてただけ｣
見え見えの俺の嘘に
そうかよ、って呟いた湧くんは何か言いたげの顔をしていて、
｢なんか言いたいことあるんでしょ？｣
やっぱり俺は友達を見捨てることは出来ない。
｢いつから、？｣
｢なにが？付き合ったのはついこの前だけど｣
｢違くて、Aのこと好きだったの｣
やっぱり湧くんの気持ちは読めない。湧くんに関係ある？って出かけた言葉は湧くんの切なそうな、悲しそうな、複雑そうな顔に押し止められてしまった。
｢一目惚れだったよ、出会った時から｣
｢そっか、｣
｢で？それだけ？湧くんは彼女とどうなの？｣
俺、湧くんのせいで沢山苦労したんだからってちょっとだけ嫌がらせ。
｢別れたよ｣
｢え？｣
思いもよらぬ言葉に口が開いてしまう。
｢別れたの、みりが別れようって｣
｢湧くんはそれでよかったの？｣
｢俺がみりのこと好きじゃなかったんだ、｣
湧くんから出る言葉は全部俺の頭で処理するのには時間がかかって、でもなんとなくわかった。
湧くんの行動も、メッセージも考えてることも。
｢湧くん遅いよ、俺もう絶対Aのこと離さないって決めたから、ごめんだけどAに変に関わらないでほしい｣
｢わかってる、ただ友達としてまた5人で遊びたい｣
関わらないでほしいと言ったのに。
Aがあんなに苦しい思いをしたのにのうのうと告げられた言葉にむかついた。
「考えとく、じゃあ俺そろそろ行くわ」
突き放すような言葉をはいた。
でもそれでもAだけはもう離したくなかった。
だから俺の背中に突き刺さる視線に知らないフリをした。
自分勝手すぎんだよ。湧くんは。
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作者名：にゃん | 作成日時：2023年3月23日 18時
