君と過ごした時間に偽りなんて ページ29
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黒ちゃんと織山くんと話したあとから
気持ちが固まるのにも時間はそうかからなかった。
1人になった時に頭に浮かぶのはやっぱりあの人だったから。
大学の講義が終わったあと、必死に探した彼の姿。
「A、？」
「深田、、話があるんだ、」
「いいよ、話そっか、」
やっぱり深田は優しい。
本当だったら突き放してくれてもいいのに。いっつも真っ直ぐででもちょっとだけ不器用で。ずっと一途でいてくれた。
「私さ、優柔不断なんだよね、｣
「知ってる、メニュー選ぶの時間かかるもんね」
「私すぐに泣くんだよね、素直になるのも苦手」
「知ってる、映画ですぐ泣くやん」
「私早起きは苦手」
「それも知ってる、俺より早く起きたことないもん」
「そんな私でも好きでいてくれる？」
「え？」
「わたし、深田のこと好きになっちゃった、1人になってずっと考えてた、でも頭に浮かんでくるのはどうしても深田なの。
だから、もう遅いかもだけど、、」
そこまで言うと目の前が真っ暗になって深田に抱きしめられてるって気づくのにもそんなに時間はかからなかった。
「俺ずっと一途だったんだよ？そんな簡単に忘れれんよ、｣
「俺もAが好き」
抱きしめられて深田の匂いに包まれたまま真っ直ぐと伝えられた言葉は私の顔を赤くするのには十分で、
「いっぱい悩ませて、辛い思いさせてごめんっ、」
「ううん、俺ちゃんとAの気持ち分かってたから、痛いほどわかってたから、なのに突き放してごめん、」
「んーん、ずっとありがと、だいすきだよ？」
「俺もだいすき、俺の彼女になってくれる？」
もう嘘なんてつかなくていい。
深田の背中に回す手に力いっぱい込めて「深田の彼女になる」って呟いた。
「もう、また泣いてるやん！ほんと泣き虫！」
「だって、嬉しいんだもん、っ」
「いいよ、その方がかわいい」って頭を撫でてくれる深田にまた顔が赤くなった気がした。
「俺が幸せにする」
そういった深田の顔が近づいて目を瞑ると唇に柔らかい感触。
「顔真っ赤、かわい笑｣
はじめて深田とキスをした。
君と過ごす時間に偽りなんてなくて、
いつからか私の宝物になっていた。
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作者名：にゃん | 作成日時：2023年3月23日 18時
