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Makoto side





昨日のあれは一体、
あの笑顔に声、思い出すだけで…。なんだこれ。

机に頬杖をつき、窓の外を見る。
所謂主人公席ってやつを手に入れた俺は、
空がよく見えるこの席で空を見つめるのが好きだ。





昂「っはよ、昨日大丈夫だった?」


慎「え?」


昂「おーなーか」


慎「あぁうん」


昂「そっか、昨日さぁ歌いすぎちゃって…」


『おはよー』




ちらりと声の方向に目をやると先生だ。




「おはようございます」


『えーっと、田中くん!おはよう!』ニコッ





そうか、そうだよな、俺だけなわけないか。
所詮、先生と生徒の関係だもんな





昂「…で、キレられて、って聞いてる?」


慎「ん、おもしろそう」


昂「え?」


慎「ごめん聞いてなかった笑」


昂「いや聞いとけ?笑」


『始まるよー、席ついて』




そのままこの感情の行先も分からず
特に何も無いまま1ヶ月半がすぎてた。




『あと2週間で中間テストです』


昂「うわ、すぐじゃん」




今まで古典が毎回赤点の俺をまた憂鬱にさせた。




『今日から部活休みになるから
しっかり勉強して、質問とかあれば
職員室に聞きにきて!』


昂「また赤かな?笑」


慎「うるさ笑」


拓「てか先生の授業分かりやすいよね」


昂「それなっ!あんな眠くなんないの初めてだわ」


龍「昂秀は先生ばっか見てるからね笑」


昂「おい!笑」


拓「まこっちゃん放課後聞きにいったら?」


慎「うん」




放課後3人に先に帰ってもらい職員室へ。
中を覗いてみるも先生の姿はない。




慎「あ、先生いらっしゃいますか?」


「A先生?まだ戻ってきてないな、どうした?」


慎「なら大丈夫です、失礼しました。」




正直期待した。
少しでも距離が近くなるかなとか、
もっと知れるかなとか。でもいないなら。




『あ、長谷川くん、どうしたの?』


慎「…いや、別に」


『そっか、そういえば古典苦手?』


慎「え?」


『小テストいつも取れてないから、苦手なのかなって気になってたの』




気づかれてたんだ。
気にしてくれてたんだ。なんか嬉しかった。
って俺やばいかな。




『なにかあったら言ってね?
練習問題とか渡すし解説するよ』





俺の目を見つめて、柔らかい笑みを見せる。
前と同じ衝撃が走り、何も返事を返せない俺に
気をつけて帰ってね、と言うと通り過ぎていった。





慎「先生…!」


『ん?』


慎「古典教えてください」




ただきっかけが欲しかった。
先生と話せるきっかけ、
先生のことを知るきっかけが。

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作者名:さku | 作成日時:2021年4月15日 22時

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