私と晃くん2（短編）

綿にくるまれた関係 ページ9

＊友達以上恋人未満な関係



みんなでご飯を食べたあと、お酒を飲んだ私は車で来ていた晃さんに送ってもらうことになった。
よろしくお願いします！と言って車に乗ると、運転している晃さんと他愛ない話をする。


あ、あの店おいしそう。
行く？
行かない。
おい。


なんて時折つっこみながら。

話してるのはすごく楽しくて、あぁ何か離れがたいな…と思うけれど、友達である私の立場ではそんなことは言えない。
車を運転する晃さんの横顔を見つめていると、ふいに晃さんと目が合う。


(…っ！びっくり、した…！)



「何？」

「あ…いや……、もうすぐ、家着くね。早い」

「…じゃあな」

「冷た！」

「こんなとき何て言えばいいんだよ」

「えー？んー…『寂しいっ！』とか言ったら？」


はぁ？何だよそれ！と晃さんが笑う。
その横顔がすごく好きで、あぁ笑ってくれた、とまた見つめる。

…いけないいけない。気をつけなきゃ。


「明日はアーリー行くけど、Aも行く？」

「うん。え？迎えに来てくれる？ありがとうー」

「おい、言ってねぇだろ」

「ふふ、冗談！」

「…ったく、9時な」

「え？」

「オレ9時に行くから。…ついで」


…あぁ、そういうところだ。

優しくて、…少しだけ甘えさせてくれる。

きゅ、と胸が締め付けられて、…小さな声で「ありがと」と伝える。


「…ん、あと少しで着くな」

「……寂しい」

「……っ」

「なんてね」

「…ばーか、」


くしゃり、と自分の髪を握る晃さん。

…照れて、る？晃さんが…？

再び息苦しさを感じ、堪らなく好きだと気持ちが溢れる。


私たちの関係は綿にくるまれているようだ。

温かくて…だけど、少しだけ息苦しい。


だけど、しばらくはこれでいい。

この温かさに包まれていたいから……

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