私と晃くん2（短編）

高校生のような熟年夫婦のような恋 ページ16

*友達から恋人になったばかりの幼馴染二人


「晃、はい」

「ん、さんきゅ」


買ってきたカフェオレを渡すと晃はストローを突き刺して飲み始める。
その隣に座り込んで、私はイチゴオレを飲み始めた。

…いつも通りの光景。

ぼぉっとしながら二人で並んで座るのはいつものこと。
そういえばギータがこんな私たちを見て「老夫婦か！熟年夫婦か！」と笑っていたのを思い出す。

ついでに「何かあんま恋人っぽくないよなー」という言葉まで思い出す。


余計なお世話だ。そんなこと、私が一番よくわかってる。
話すことといえば野球のこととゲームのことくらいだ。
……うーん、考えれば考えるほど熟年夫婦感が……



「あ、」

「ん？どした？」

「明日練習ない」

「え、珍しい」

「ゆっくりできる」

「？うん、そだねー」

「…………………………」

「なぜ不満げ」

「………別に」

「………。…あぁ、」

「何」

「一緒にいたいってことだ」



すんなりと出た言葉に晃は一瞬言葉を詰まらせると、…ちゅ、と軽くキスされる。

え！？と驚く私に、再び軽いキス。

な、なななな何いきなり！！！き、キキキキスとか！！
えええええ！！何！？と内心パニックになる私に晃はぎゅっと私の体を抱き締めた。



「そういうとこ、好き」

「………っっ」

「あ、照れてる」

「っ、晃！」

「ぷ、はは！」



楽しそうに笑う晃が、何だかかわいく見えてきて。

…あぁ、なんか恋人っぽいな、なんて。

きっとギータが見たら「高校生かよ！？」とまた笑うのだろうけど、私たちなんてきっと熟年夫婦で、高校生のような恋愛なんだ。
そして、それで私も晃も、…結構満足してる。

ほら。その証拠に、目が合った私たちは少しだけ見つめあって……ゆっくりと目を閉じながらその温もりを待ったのだった。

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