共に負ったいつかの古傷#3【S×J】 (ページ15)

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Sside

あの時の俺は一体どこに行ってしまったのか……。

別に授業がつまらなかったわけじゃない。

確かに周りは見下していたが、出される課題をするのは楽しいし、知ってる内容ではあるが解き方の違ったロジックを知れたりすることは興味深かった。

じゃあ……何が。

と言われると、、

『んー、今回の模試はまあそこそこの結果だな』

S『えっ、でも東大A判定出てるよ』

『判定が全てじゃないぞ、翔。
正答率、どういう間違い方しているか、それを見て言ってるんだ。
翔はこの間違いがなぜ間違ったか説明できるか？』

S『……ケアレスミスだよ』

『それが命取りになるんだよ。
人には必ず間違いがある、それは父さんも分かってる。だからこそ人には“時間”があるんだ。
考察する時間、突き詰める時間。
お前はそれを怠りすぎだ』

俺が何を言おうと父には論破され、抗う場面など無いに等しかった。

高校に入り、そんな自分が惨めに思えて。

周りは皆自分らしく生きている。

どうして俺だけこんなに縛られてるんだろう、

どこに居ても勉強してんだろう。

どうしてこんなに父を恐れているんだろう。

.

バカバカしくなってきた。

『翔。今日は雨が降るそうだから塾は母さんに送ってもらいなさい』

S『……いちいちうるさいな……』

『……今なんて言った』

S『だから……いちいちうるせえんだよ！
こんなのやってらんねえよ！』

『翔！？……ちょっと、どこ行くんだ翔！！』

家を飛び出した。