共に負ったいつかの古傷#5【S×J】 (ページ8)

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Sside

「翔！！卒業してもよろしくなあ！まだわかんねえけど！」

S「寺井(笑)大丈夫だよきっと。大学でもよろしくな」

それでも後は結果を待つのみだと。
そんな雰囲気で楽しい時間を過ごした。

S「奥田。良かったな、大野が卒業できて」

「え？……ああ、智？危なかったよ智は。
潤くんがね、どうしても智を卒業させてあげたいって、だから私に何とか最後のテストだけでも欠点なしで終えさせてって懇願されてね。
やるしかないって思った」

S「松本が？……やっぱりな」

大野の彼女である奥田と、同じクラスではあったがあまり話したことはなかった。

ただ今回の件、大野が卒業できた事については他ならぬ奥田のおかげだろうと、またその一件に松本も関わっているだろうと思って。

何となく声をかけてみるとその通り。

アイツは、自分の受験で精一杯のはずなのに、他人の心配をできる奴なんだよ。

そういう奴なんだよ。

……そういう奴だから…………。

たくさん大変な思いをしてきたんだ。

「櫻井くんもさ、潤くんの事引き受けたんだったら最後まで責任持ってあげなよ……って、智が言ってたよ」

S「ふはは、言われなくても分かってるって返しといてくれ」

大野のやつ、相変わらず松本が一番大事なんだな。

まあ後で大野の所にも行くか。

今までの俺から大野に対しての想い、ぶつけてやろう。

と、卒業のムード一色の中だけど、俺にはやらなければならないことが残っている。

そろそろクラス単位の時間を終え、部活単位の時間へとシフトしていく頃。

俺は教室を出て、Ⅱ類の所へと向かった。

アイツに、松本に、全てを打ち明ける為。

S「松本！」

ガラガラと4組の扉を開けると、数人が俺に顔を向けた。

4組はもうクラスの時間が終わっていたらしく、人はまばらになっていた。

S「あれ？……松本、いる？」

「あ、櫻井じゃん。
潤？潤ならもう教室から出てったけど。
ニノたちの所行ったんじゃねーの？」

何だよ……いないのかよ。
しかもニノ達って……。

少し腑に落ちないまま仕方なく来た道を戻り、2組の扉を開くと、ここのクラスも人はまばらになっていた。

しかも、ニノの姿も見当たらなかった。

もちろん松本も。

少しずつ、焦りというか苛立ちが積もり始めた。

どこにいるんだよアイツ。

伝えたいこと、、たくさんあるんだ。

やっと伝えられると思ってたのに。