よくわからない涙 ページ15
・
智「何か食べたいもんある？」
A「特には…選んでくれた物で…いいよ」
結局、雅紀に
カズと潤をお願いして智の誘いを受けた。
最後の良い思い出にしたくて…
これ以上、もう智には関わらない。
そう決めたから。
私はカズと潤の存在を智に伝える気はないし、
この先何があっても雅紀にも誰にも父親の事は教えない。
ならばこのまま何事もなく去っていこう。
そう決めた。
智「A。また一緒に住もう」
A「えっ…」
智「次会ったら絶対言おうって、ずっと思ってた」
私の決意を話す前に、智から切り出された選択肢。
目の前には…
指輪の入った四角い箱。
「こんな小さな居酒屋で申し訳ないけど」なんて、
悪戯に笑うその姿は少し照れくさそう。
だけど、
指輪の入った小箱を差し出す手は強くて真っ直ぐで、
引っ込めようとはしない。
ガヤガヤ、ザワザワって周りの音が
一切聞こえなくなる。
頭の中が真っ白になる。
もちろん、私の人生において
こんな状況は初めての経験で…
戸惑うしかない。
それに私の決意もあったわけだし。
けれどそれは、
目の前の現状とは全く正反対の選択肢。
智「返事はいつでも良いよ。10年、20年先でも」
A「…」
智「俺はずっとAの側にいたい。それならどんな形だって構わないから」
ニコッと笑うその表情は
気取らない、素のままの智の姿で…
あまりにも純粋な告白だったから、
思いも寄らない言葉だったから、
思わず涙がこぼれた。
これは何の涙なのか、
そう聞かれたら答えられない。
自分でもよくわからないから。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 176人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
砂希流(プロフ) - 美唯さん» 積極的な大ちゃんと急接近。コメントありがとうございます！！ (2014年12月7日 0時) (
レス) id: 65547f40c2 (このIDを非表示/違反報告)
美唯 - 楽しく読ませて頂いてます(笑)大ちゃんとどうなるの？？続き楽しみ(笑) (2014年12月1日 0時) (レス) id: 14862b15c0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：砂希流
| 作成日時：2014年11月21日 1時
