大野パン屋～家族のおはなし～ (ページ22)

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崩壊ページ22

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A「全部嘘だったら良いのにね……」

私の声が病室に響く。

A「嘘だったらきっとここまで辛くないのに…」

智「病気のこと？」

A「家族が少なかったら…ここまで寂しくなかったのかな…」

智「……潤だけだったら良かったってこと？」

智くんの表情が
怒りに少し歪んでる。

A「私だけ仲間外れなんだもん。あの子達がどう育っていくのか、私も知りたい…」

ボロボロと溢れた私の涙を見て、
智君は何も言わなかった。

里子をもらわなければ良かったと、
まるで三人を否定するような…
遠回しではあるけど、
そんな最低な発言をした私の言葉を
そのまま包み込んでくれた。

ただただ何も言わずに
智くんは優しく抱きしめてくれた。

辛い、悲しい、
あの子達の側にいたい、

それは叶わない願い。

精密検査の結果、私の体は
病に侵されていることがわかった。

入院を余儀なくされ、
あれからずっと家には帰れていない。

里子も…
もしかしたら、
施設に戻ることになるかもしれない。

両親の揃っていない家に、
里子がいていい意味なんてないから。

全ては私が壊した。

私のこの体が、この命が、
全てを奪った。

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