大野パン屋～家族のおはなし～ (ページ17)

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根っこの優しさページ17

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気になって仕方のない潤は、
トイレついでに雅紀の様子を見に行く。
その後を私も追う。

そこには自分の部屋でボーと座る雅紀がいて、
その姿を部屋の入り口から覗く潤の背中。

雅紀は兄弟のいる家にいた。
でも一人だけ虐待されていて…

暴力振るわれたり、
言葉で罵られたり、
一人だけいないように無視されるのは日常茶飯事。

そんな雅紀が一番恐れているのは、

無視されること。

いないようにして喋っても反応してくれないこと。
暴れても何しても振り向いて貰えない、
気づいてもらえないのは怖い。

だからこそ私はあえて
雅紀を怒って、無視をした。

それが雅紀の心を悩ませる。

無視される恐怖と
潤への憎しみが天秤にかかって、悩んでる。

可哀想だけど、
こうするしか雅紀を変えられない。

潤「雅にぃ…ごめんね。」

潤が声をかける。
自分のせいで雅紀が怒られたと思った潤。

根は良い子に育った。
それは間違いなく自信を持って言える。
だって潤は私と智君の子だもん。

そして勿論、
翔や雅紀、和也だって私達夫婦の子だから、
きっと絶対わかってくれる。

私はそう信じてる。

雅紀「うるせーな。入ってくんなよ…考え事したいから」

潤「……わかった。」

言ってることは冷たいけど、言葉は優しい。

雅紀、やれば出来る子だもんね。
少しずつで良いからお願いね。

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