大野パン屋～家族のおはなし～ (ページ12)

今日:18 hit、昨日:4 hit、合計:259,769 hit

にぃページ12

.

雅紀「母ちゃん！赤ちゃんうるさい！」

和也「うるさい！」

雅紀の声と共に、
和也もベビーベッドに寝る潤を見て叫ぶ。

雅紀も潤のことを気に入らないって言葉にする。
そして近寄らない。

悲しかったけど、
傷つけたりしないのは
雅紀の優しさだと思う。

その点、
和也の方は相変わらず。

目を離したすきに潤の頭を叩いたり、
潤の表情見て大声出したり、
うかうかとトイレに立つにも
潤を一人にしておけない状況だった。

それでも仕事は、パン屋の営業で
レジに立たなくちゃいけなくて、
潤を背負って一日中歩き回った。

おかげで身も心もヘトヘト。

智「和也は潤のお兄ちゃんなんだから優しくしてあげて？」

智君の声にも、ふいって首背けて無視。

ただ一つだけ救いなのは、
どんなに無視されて意地悪されても
潤はお兄ちゃん達のことが大好きだということ。

私達が「にぃ達は～だね」と、
何度も潤に話しかけるから、

潤は「パパ」「ママ」より先に、
「にぃ」という言葉を覚えた。

翔を、雅紀を、和也を指さして、
満面の笑みで「にぃ」と呼ぶ。

そんな潤を見ると疲れも吹っ飛んだ。

いつかにぃ達に
振り向いてもらえると良いね。

私も…
お母さんも、願ってる。

.