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二百四十七話「本当の異能力、もう一つの力」 ページ15

「はいはーい!残念だけど、院長先生には強制退場してもらいまあす!」


「は?」







聞いたことのある声に、辺りは全部吹き飛ばされた。
黒い世界は一瞬にして明るくなり、後ろにあった気配も無くなっていた。







「本当はもっとタイミング良く夢に入り込みたかったんだけど、
なんせ貴女、夢といったらこの夢しか見ないんだもの、
都合が悪いったらありゃしないわ」


「は?…………え?」


「貴女、相当キてるようね。良い精神科教えるわ」






自分の声に似た、その声が頭に直接入ってくる。
目の前には黒い靄、間違いない、Aにことごとく話しかけるあの幻覚であった。







「幻覚じゃないわよ」


「なんで考えてることが判るの!?」


「簡単簡単、私は貴女の『異能力』だからよ」


「?」


「『文字禍』……そう云ったら判る?」






え、と間抜け顔を晒しながら黙りこくる。
ぽくぽくぽくちーん、のリズムでAは「ああ!」
と電球でも光ったかの如くに思い出した。






「靄だ!」


「覚え方が随分雑ね、流石兄妹揃って天然……」


「え、でも待って、異能力は私の中にある筈なのになんで実体化してるの?」


「ああ、先ずはそこから話さないとね」


「?」








Aの異能力兼黒い靄は、Aに丁寧に説明し始めた。








「私は四年前に貴女と分離した」


「待って説明が飛んでない?」







丁寧……とは云いがたいが。






「私は元々貴女の異能力だった。
貴女が幼少期に使っていたのはそれのごく一部というわけ」


「『風を操る』力がごく一部……?」


「そう。そして四年前のあの事件で、不思議なことが起きたの。
異能力の本当の力を使った後、それを拒むように切り離されたの。
元々一つだった異能力が二つにぱっかーんって割れちゃったわけ」


「切り離したのは私?」


「貴女の強い気持ちに異能力が反応した。
『もう誰も傷つけたくない』って」








切り離されたのがこの靄であり『文字禍』であるのだ。
切り離された二人は一時的にくっつくことができる。
芥川が襲撃に来たとき反撃できたのは、それができたからである。








「じゃあ、貴女は?」






Aは訊ねた。







「私は貴女のもう一つの異能力にして、この能力の器。
…………って云っても、黒い靄じゃあなんとも云えないか」






そう云って黒い靄は形を変え始めた。
靄は人の形に姿を変える。
その姿とは……

二百四十八話「異能力の名前」→←二百四十六話「二人の未熟な少女」



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+アリス+(プロフ) - りんさん» コメントありがとうございます。自分のペースでこれからも頑張っていこうと思います。 (2019年5月3日 16時) (レス) id: 00e250021f (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - ゆっくりで書いてください (2019年5月3日 15時) (レス) id: 5016550d2e (このIDを非表示/違反報告)
+アリス+(プロフ) - 夏季さん» はい、番外編にて書かせていただきます (2019年1月2日 10時) (レス) id: 87d894de71 (このIDを非表示/違反報告)
夏季 - 敦が絶対女王である設定と裏社会の人間だった設定の話宜しくお願いします。楽しみにお待ちしてます (2018年12月30日 18時) (レス) id: a5c09ccca7 (このIDを非表示/違反報告)
+アリス+(プロフ) - 夏季さん» はい、リクエスト、確かに承りました。 (2018年12月30日 18時) (レス) id: 87d894de71 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:+アリス+ | 作成日時:2018年12月24日 15時

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