二百四十六話「二人の未熟な少女」 ページ14
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「今回の戦いは大規模抗争になる。
探偵社は守勢と攻勢を二つに分けた戦法をとると思う」
場所を変えて路地裏。
Aと鏡花は土の地面に移動し、Aは落ちていた木の棒で戦争の陣営を描く。
「多分拠点は既に移動していると思う。
与謝野先生を中心に守備を固める作戦」
「…………なら私たちは?」
「鏡花ちゃんと私は実質行方不明となってる。
ここは下手に表に出るよりも裏で身を隠す方が良い」
十四歳にしては、なかなかの作戦立案だ。
闇の才能、そう思われてしまうが、今はそれを考えている暇もなかった。
「悲しいけど、ここに私たちの出番は用意されていない。
あえてお兄ちゃんとの連絡もとれないようにしてるけど」
「敵を欺くなら先ず味方から」
「……そうだね」
敦はどうしているだろうか。
妹としての純粋な悩みだ。
……いや、今は考えないようにしよう。
「もう夕方か……野宿になるけど、どうする?」
「場所を探そう。ここら近辺はマフィアの傘下地帯。
地形は全部頭に入ってる」
日も暮れると、二人は眠りについた。
夜空が珍しくくっきり見えた。
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__夢を見た。
それは敦が船で闘う前に見た、院長と対峙したときの夢によく似ていた。
真っ暗で、ただひたすら奥の見えない闇に包まれていた。
墨汁でも垂らされたのではないかと思うくらいだ。
声が聞こえた。
ーまたかー
低い。院長先生の声だ。
Aは後ろに振り向いた。
ーまた己に囚われて負けた。
お前は何時になったら成長できるのだー
「!」
姿は見えない。
だが、自分の後ろに語りかけている、大きな気配は感じ取れた。
もう負けない、そう思っていても、あの人には勝てなかった。
ーお前の未熟さに何人の人間が犠牲になった。
全てはお前のせいだ、いい加減に理解しろー
弱い、私はまだ弱いのだ。
この夢を見るたびに実感する。
そうだ、判っている。
判っているのだ。
私が院長先生に囚われていることぐらい。
孤児院から出ていっても、この人を忘れようとしても、戒めのように院長先生は現れる。
多分、自分が生きて良いと云われても、
例えこの先どんな出来事があろうとも、
この人からは逃げられない。
「判っているよ、それくらい」
二百四十七話「本当の異能力、もう一つの力」→←二百四十五話「三社鼎立」
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+アリス+(プロフ) - りんさん» コメントありがとうございます。自分のペースでこれからも頑張っていこうと思います。 (2019年5月3日 16時) (レス) id: 00e250021f (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - ゆっくりで書いてください (2019年5月3日 15時) (レス) id: 5016550d2e (このIDを非表示/違反報告)
+アリス+(プロフ) - 夏季さん» はい、番外編にて書かせていただきます (2019年1月2日 10時) (レス) id: 87d894de71 (このIDを非表示/違反報告)
夏季 - 敦が絶対女王である設定と裏社会の人間だった設定の話宜しくお願いします。楽しみにお待ちしてます (2018年12月30日 18時) (レス) id: a5c09ccca7 (このIDを非表示/違反報告)
+アリス+(プロフ) - 夏季さん» はい、リクエスト、確かに承りました。 (2018年12月30日 18時) (レス) id: 87d894de71 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:+アリス+ | 作成日時:2018年12月24日 15時