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二百四十三話「大人の時間」 ページ11

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組合の襲撃に探偵社は撃沈。
その後与謝野の治療を受けた御一行は、襲撃を受けたときよりもげっそりとした顔つきで座っていた。
そして敦と太宰は捕虜として捕らえた紅葉の居る医務室へと向かう。






「やあ姐さん、ご無沙汰」





目を覚ました紅葉に太宰は挨拶する。
見張り、二人に任せられた任務はそれだった。






「フッ……確かに久しいのう、裏切者よ。
組織の誰もが其方の首を狙っておるぞ」


「はは、行列に並ぶよう云わないと」






危ない会話を交わし、紅葉は敦にチラリと目をやった。






「……童、鏡花とAは無事かえ」


「二人は……行方知れずだ。貴女の所為だ」






敦は怒りに震えていた。
しかし紅葉は「くくっ」と不適に笑っていた。
敦は怒りで我を忘れ、異能力で虎化した腕を振るう。
しかし太宰がそれを『人間失格』とおさえ、敦をなだめて医務室から離れるように云った。
医務室に二人きりとなる。








「早速で悪いけど、開戦までもう間がない。
そして捕虜には大事な仕事があるよね。
マフィアの戦況、今後の作戦について教えてもらおうかな」


「ハッ、マフィアの掟を忘れたのかえ、坊主?
江戸雀は最初に死ぬ」







太宰は交渉に移るも、其処は流石マフィア幹部と云えるだろう、紅葉は一言も喋ろうとはしなかった。
しかし太宰も負けていない。
太宰は思い出したように云った。
紅葉の部下には拷問の専属班が存在し、
その拷問班ですら歯が立たない時は太宰が助太刀していた、と。







「私が訊いても口を閉ざした儘の捕虜が一人でも居たっけ?」






刹那、金属が噛み合い、それぞれが型にはまる____鍵の閉まる音が聞こえた。
マフィアではこんな教訓、と云うか、心得のようなものがあった。
『太宰の敵の不幸は、敵が太宰であること』






「此処からは大人の時間だね」





嘗ての黒さを刹那にして取り戻し、黒い笑みを向けながら指をコキコキと鳴らした。
紅葉は一瞬にして恐怖を覚えた。
太宰の敵の不幸は敵が太宰であること。
全くその通りである。

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+アリス+(プロフ) - りんさん» コメントありがとうございます。自分のペースでこれからも頑張っていこうと思います。 (2019年5月3日 16時) (レス) id: 00e250021f (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - ゆっくりで書いてください (2019年5月3日 15時) (レス) id: 5016550d2e (このIDを非表示/違反報告)
+アリス+(プロフ) - 夏季さん» はい、番外編にて書かせていただきます (2019年1月2日 10時) (レス) id: 87d894de71 (このIDを非表示/違反報告)
夏季 - 敦が絶対女王である設定と裏社会の人間だった設定の話宜しくお願いします。楽しみにお待ちしてます (2018年12月30日 18時) (レス) id: a5c09ccca7 (このIDを非表示/違反報告)
+アリス+(プロフ) - 夏季さん» はい、リクエスト、確かに承りました。 (2018年12月30日 18時) (レス) id: 87d894de71 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:+アリス+ | 作成日時:2018年12月24日 15時

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