九十六話「ブラックアウト」 ページ9
その冷たい声音で一気に現実へ引き戻された。
黒い外套に髪、まるで闇を連想させるその姿はもう二度とみたくないものだった。
芥川龍之介。
鏡花の夜叉白雪を操っていた張本人、黒幕である。
「処刑などせぬ。お前は任務をしおおせた」
彼の外套から鋭く伸びた『それ』は兄の心臓を突き刺していた。
敦はぐったりとのびている。
すぐに現れた黒い車たちが周囲を囲む。
交番の警察官も騒動に気づいたのか駆けつけるも、黒服たちに追い返されてしまった。
すぐ目の前にいる恐怖に鏡花は立ちすくんでしまう。
敦の鮮血がポタ…ポタ…と頬に垂れる。
「欲しいぬいぐるみが手に入った…か。
お前には発信器が埋め込んである。
お前の居場所、お前の行動はすべて筒抜けだ」
大きなトラックに敦を放り込む。
鏡花は利用された、餌として。
マフィアとはそんなものなのか、とAは思う。
「帰るぞ」
芥川は鏡花にそういった。
まるでマフィアが彼女の居場所だと告げるように。
でもAは納得いかなかった。
そう思うと、体が自然に動いていた。
「させない」
鏡花へとのびる手を握りしめる。
「アンタの思い通りになんてさせない」
「ほう…なら止めてみろ」
芥川の異能『羅生門』がAに喰いかかる。
だがAはそれを避け、反撃しようとする。
この力はもう二度と遣いたくない。
だが今はやむを得ない状況だ。
「異能力『光と風と夢＿＿』」
「させぬ」
羅生門がAに喰いかかる。
芥川だって判っているのだ。
Aの異能力の恐ろしさを。
Aは必死に避ける。
本音を云えば結構キツイのだ。
「終わりだ」
「！」
汗がポタリと落ちる。
それに気をとられた刹那、羅生門がAの腹を貫いた。
焼けるような痛みが走る。
口からは血を吐き出し、意識がだんだん薄れてくる。
「チッ……死んだか。まあいい、人虎さえ捕らえられれば任務は終わりだ」
貫かれたAを地面に叩きつける。
まるで無機物を見るような目だ。
「(まだ……)」
痛い、熱い、重い、もうだめだ。
だがAは諦めなかった。
薄れ行く意識のなか、Aは芥川の足をつかむ。
「駄目……」
だがそれもつかの間。
芥川に蹴られた衝撃でAの意識はブラックアウトした。
Aが最後にとらえたのは、兄を乗せて走る大きなトラックだった。
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+アリス+(プロフ) - かにかまさん» 塩対応能力(笑)ですね。妹ちゃんは太宰さんを塩対応すればするほど良いと(個人的に)思ってるので(寧ろ敦くんには天使スマイル向けてほしいです) (2018年10月24日 19時) (
レス) id: 87d894de71 (このIDを非表示/違反報告)
かにかま(プロフ) - 塩対応能力w (2018年10月23日 20時) (レス) id: 723d39c3a6 (このIDを非表示/違反報告)
+アリス+(プロフ) - 紅華さん» すみません間違えていました。誤字の指摘、本当にありがとうございます。申し訳ありませんでした (2018年9月30日 23時) (レス) id: 87d894de71 (このIDを非表示/違反報告)
紅華(プロフ) - あの公開ではなくて後悔ではないのですか？ (2018年9月30日 23時) (レス) id: 1bdfb279a8 (このIDを非表示/違反報告)
+アリス+(プロフ) - 緑谷みとかさん» はい、では早速紹介させていただきます！ (2018年8月14日 10時) (レス) id: 87d894de71 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：+アリス+ | 作成日時：2018年7月18日 20時
