百二十五話「赤毛と白髪」 ページ39
ぐわんとエレベーターが揺れると、そのまま下へと降りていく。
未だに慣れないこの感覚に、毎度ドギマギしてしまう。
それはそうとこの三人だ。
エレベーターに乗り『組合』のメンバーを送り出すことを進んで行ったのには理由がある。
この赤毛の少女についてだ。
「(そう云えば賢治君、さっきあの子と話してたみたいだけど………あれ？)」
さっきまで隣にいた賢治が居ない。
そして驚くべきはその後ろだった。
赤毛の少女が賢治の麦わら帽子を被っていたのだ。
「えっ」
その少女に向かって足を踏み出したときだった。
世界が一気に変わり、ピンクの部屋のなかにAはいた。
ぬいぐるみ、プレゼント箱、装飾用の飾り帯。
何が起きたのかさっぱり判らないAは食らいつくように辺りを見回した。
まるで子供部屋のような雰囲気だ。
「いらっしゃい」
「！」
無邪気な子供のような声がAを引き寄せた。
弾かれたように振り替えると、そこには先程の赤毛の少女が立っていた。
少女は賢治の麦わら帽子で口元を隠して無邪気に笑った。
「あたしルーシーって云うの。
でもこの名前あんまり好きではないから……そうね、コーデリアと呼んでちょうだい！
「あの」
「あたし、気に入らないものには名前をつけるの。
そうすればちょっとは楽しくなるでしょう？
でもね、どんなに想像力を働かせても自分の髪の色だけは誤魔化せないの。
だってすぐ目についてしまうんですもの。
ニンジンって云われたこともあるのよ？
それってあんまりじゃないかしら？」
「……えっと」
「あらご免なさい。
あたしったらまたお喋りになっちゃったわ。
まずは貴方にここの事を説明しなくちゃ。
それにしても貴方、綺麗な髪ね。
カラスみたいな黒髪も素敵だけど、白鳥のような白髪もいいわね！」
口を開けばマシンガンの如くおしゃべりを続ける少女にAは唖然とする。
「それはそうと、貴方には大事な役割があるのよ。
この部屋のアンと遊んでほしいの。
寂しがり屋で甘えん坊だからちょっと大変だけど、貴方にならきっとできるわ」
「えっ」
「いらっしゃい、アン」
ルーシー・Ｍ
異能力『深淵の赤毛のアン』
赤毛の少女の後ろから魔法のように怪物が現れた。
ぬいぐるみのようにつぎはぎで、大きな手がにゅっと出ている。
コーデリアもといモンゴメリは口元を歪め、子供のように笑っていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 197人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
+アリス+(プロフ) - かにかまさん» 塩対応能力(笑)ですね。妹ちゃんは太宰さんを塩対応すればするほど良いと(個人的に)思ってるので(寧ろ敦くんには天使スマイル向けてほしいです) (2018年10月24日 19時) (
レス) id: 87d894de71 (このIDを非表示/違反報告)
かにかま(プロフ) - 塩対応能力w (2018年10月23日 20時) (レス) id: 723d39c3a6 (このIDを非表示/違反報告)
+アリス+(プロフ) - 紅華さん» すみません間違えていました。誤字の指摘、本当にありがとうございます。申し訳ありませんでした (2018年9月30日 23時) (レス) id: 87d894de71 (このIDを非表示/違反報告)
紅華(プロフ) - あの公開ではなくて後悔ではないのですか？ (2018年9月30日 23時) (レス) id: 1bdfb279a8 (このIDを非表示/違反報告)
+アリス+(プロフ) - 緑谷みとかさん» はい、では早速紹介させていただきます！ (2018年8月14日 10時) (レス) id: 87d894de71 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：+アリス+ | 作成日時：2018年7月18日 20時
