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百二十四話「来客者、襲撃者」 ページ38

現れた金髪の男は、二人の付き添いを連れて面会を申し出た。
そこでフィッツジェラルドと名乗るその金髪の男は……





「この会社を買いたい」





そう云って外国円の札束がぎっしり詰まったスーツケースを見せた。
福沢は顔を険しくし、付き添いのナオミも目の前の怪物に冷や汗を垂らす。





「勘違いするな。
俺はここから見える土地と会社すべてえお買うこともできる。
この社屋にも社員にも興味はない」





あるのは一つ。
その言葉で福沢は察した。




「そうだ。『異能開業許可証』をよこせ」




表向きでは無いことになっている『組合』。
『捜し物』をするためにはそれが必要なのだと云う。
福沢の答えは




「断る」





きっぱりと云った。





「命が金で購えぬように、許可証と替え得る物など存在せぬ。
あれは社の魂だ。
特務科の期待、許可発行に尽力して頂いた
夏目先生の想いが込められている」





それは社長としての信念だった。
信念であり、目の前の相手への嫌悪感もあった。





「頭に札束の詰まった成金が易々と触れていいものではない」


「『金で買えないものがある』か、貧乏人の決め台詞だな」





フィッツジェラルドは立ち上がり帰ろうとする。
忠告という名の置き土産を置いて。






「だがいくら君が強がっても、社員が皆消えてしまっては会社は成り立たない」


「御忠告、心に留めよう。帰したまえ」





頃合いを見はかり、ナオミが手をパンっと叩く。







「お客様のお帰りでーす」


「はーい」


「あ、私も行きます」






ナオミの言葉に賢治とAが反応する。
Aは一瞬、フィッツジェラルドを睨み付けるように見たが、直ぐに視線を戻した。





「(この人がお兄ちゃんを……)」





エレベーターへと向かい、中に入る。
その途中、赤毛の少女と賢治が仲良く会話していた。

百二十五話「赤毛と白髪」→←百二十三話「たへまなく過去へ押し戻されながら」



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+アリス+(プロフ) - かにかまさん» 塩対応能力(笑)ですね。妹ちゃんは太宰さんを塩対応すればするほど良いと(個人的に)思ってるので(寧ろ敦くんには天使スマイル向けてほしいです) (2018年10月24日 19時) (レス) id: 87d894de71 (このIDを非表示/違反報告)
かにかま(プロフ) - 塩対応能力w (2018年10月23日 20時) (レス) id: 723d39c3a6 (このIDを非表示/違反報告)
+アリス+(プロフ) - 紅華さん» すみません間違えていました。誤字の指摘、本当にありがとうございます。申し訳ありませんでした (2018年9月30日 23時) (レス) id: 87d894de71 (このIDを非表示/違反報告)
紅華(プロフ) - あの公開ではなくて後悔ではないのですか? (2018年9月30日 23時) (レス) id: 1bdfb279a8 (このIDを非表示/違反報告)
+アリス+(プロフ) - 緑谷みとかさん» はい、では早速紹介させていただきます! (2018年8月14日 10時) (レス) id: 87d894de71 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:+アリス+ | 作成日時:2018年7月18日 20時

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