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百十六話「神隠しとは」 ページ30

金髪のカールがかかったふわふわの髪の毛。
可愛らしい赤色のおべべ。
妙に現実離れした幼女がAに話しかけた。






「どうしたの?」


「私のぬいぐるみが隙間に挟まっちゃってとれないの!」






ああそんなことか、と思いながらAは幼女についていく。






『ついていっちゃ駄目』


「?」





頭に直接響くあの声がまた聞こえた。
振り返っても誰もいない。
人混みと静かな風が流れているだけだった。







「早く行きましょう!」


「え、ああ、うん」






たどたどしくなりながら返事する。
一体だれが私に?
そう考える暇なく、腕を引っ張られた。
連れてこられたのは路地裏。
幼女はどんどん奥へと進んでいく。






「(なんで路地裏に)」






ねえ、と彼女に話しかける。
その瞬間、幼女が消えた。







「え、なんで……」






腕を強く引っ張られた感覚の余韻が残っている。
だから夢じゃない。
谷崎の『細雪』じゃ無い限り、幻でもない。
薄暗い路地裏に一人ポツンと残される。







「ここは?…………んッ!?」






後ろからガシッと何者かに押さえ込まれる。
口に突きつけられた布の甘い匂いに意識が薄れる。
抵抗するも、時すでに遅し。
薬、多分睡眠薬だ…と気付く頃には意識が無くなっていた。








「お疲れ様、紅葉君」






先程の幼女を隣に連れ、ある男が現れた。
パチパチと『ある人物』を褒め称えるようにゆっくり拍手をし、床に倒れたAに目をやる。
そして『ある人物』は歪んだ口元を着物の裾で隠し、ふふっと笑う。







「このような仕事、どうってこと無い。
見ろ、鏡花とはまた違った闇を持つ少女じゃ」






薔薇のように赤い髪が特徴的な和装の女性はそういうと、
「愛いのう」と仔猫を愛でるような眼差しでAの頭を撫でた。
そして金髪の幼女、エリスはAに近づき。







「この子がAね!
リンタロウとは違ってとっても優しかったわ」


「そんなあ、非道いよエリスちゃあん……!」


「黙れロリコン」


「紅葉君まで…」







茶番も悪の組織が遣れば、冗談とは思えなくなる。
少女を救うのは英雄か悪人か。
きっと誰も判らない。

百十七話「闇に生きる闇の花」→←百十五話「何気ない日常?」



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+アリス+(プロフ) - かにかまさん» 塩対応能力(笑)ですね。妹ちゃんは太宰さんを塩対応すればするほど良いと(個人的に)思ってるので(寧ろ敦くんには天使スマイル向けてほしいです) (2018年10月24日 19時) (レス) id: 87d894de71 (このIDを非表示/違反報告)
かにかま(プロフ) - 塩対応能力w (2018年10月23日 20時) (レス) id: 723d39c3a6 (このIDを非表示/違反報告)
+アリス+(プロフ) - 紅華さん» すみません間違えていました。誤字の指摘、本当にありがとうございます。申し訳ありませんでした (2018年9月30日 23時) (レス) id: 87d894de71 (このIDを非表示/違反報告)
紅華(プロフ) - あの公開ではなくて後悔ではないのですか? (2018年9月30日 23時) (レス) id: 1bdfb279a8 (このIDを非表示/違反報告)
+アリス+(プロフ) - 緑谷みとかさん» はい、では早速紹介させていただきます! (2018年8月14日 10時) (レス) id: 87d894de71 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:+アリス+ | 作成日時:2018年7月18日 20時

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