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百八話「在りし日の…」 ページ22

「殺しを続けろ鏡花。
マフィアの一員として」






鏡花の首を絞め、芥川は云った。






「でなければ呼吸をするな。
無価値な人間に呼吸する権利は無い」


「……そうかもしれない。でも…」







苦しみ、もがきながらも鏡花は答える。






「クレープ、おいしかった」







丁度その時だった。
小型船のエンジンの音と共に聞こえる国木田の声。
そこには国木田だけでなく、Aもいる。
そしてAは察する。








「(様子がおかしい)」








こういうときの勘は外れたことがない。








「国木田さん、私行きます」


「おい小娘!」








船の溝を蹴り、風の威力と共に空中へ飛ぶ。
そこには首を締め上げられている鏡花がいたことに気づく。
鏡花もまた、Aが到着したことに気付いた。







「もう嗅ぎ付けたか探偵社」







芥川が国木田たちに気をとられている、その瞬間だった。
鏡花が芥川の腕を掴み抵抗する。
そして声を張って敦たちに伝えた。








「今のうちに逃げて!この船は取引場所へは行かない!」


「ならば何処へ行く」








強い意思を持つその目は、誰にもねじ曲げることは出来ない。
低く、強い声で鏡花はこう云った。







「どん底」







そういって取り出したのは起爆ボタン。
カチッと無機質な音がすると、大きな爆発音が聞こえた。
立ち上る煙と真っ赤な炎。
Aはもう考える暇もなく走り出した。
助けなきゃ。







「お兄ちゃんは逃げて!ここは私が何とかする」


「でも……」


「いいから!」







国木田さん行ってきます、と云うと(何故)は炎に向かって走り出した。
どうしてかは判らない。
だけど……







もしここで諦めたら、私は一生後悔する







そんな気がした。

百九話「ヒーローとは」→←百七話「生きる価値とは」



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+アリス+(プロフ) - かにかまさん» 塩対応能力(笑)ですね。妹ちゃんは太宰さんを塩対応すればするほど良いと(個人的に)思ってるので(寧ろ敦くんには天使スマイル向けてほしいです) (2018年10月24日 19時) (レス) id: 87d894de71 (このIDを非表示/違反報告)
かにかま(プロフ) - 塩対応能力w (2018年10月23日 20時) (レス) id: 723d39c3a6 (このIDを非表示/違反報告)
+アリス+(プロフ) - 紅華さん» すみません間違えていました。誤字の指摘、本当にありがとうございます。申し訳ありませんでした (2018年9月30日 23時) (レス) id: 87d894de71 (このIDを非表示/違反報告)
紅華(プロフ) - あの公開ではなくて後悔ではないのですか? (2018年9月30日 23時) (レス) id: 1bdfb279a8 (このIDを非表示/違反報告)
+アリス+(プロフ) - 緑谷みとかさん» はい、では早速紹介させていただきます! (2018年8月14日 10時) (レス) id: 87d894de71 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:+アリス+ | 作成日時:2018年7月18日 20時

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