百四話「目的地」 ページ18
「はァ……ッはァ……」
敦救出のため、港へ向かう国木田とA。
辺り一面の倉庫を迷路のようにくぐり抜け、先を走る国木田に何とか食らいつく。
見ての通り息も荒く、Aには疲労が見えていた。
汗が髪にへばりつき、頬も赤く染まっている。
「大丈夫か小娘、無理なら…」
「大、丈夫です……まだ……ッ行けます！」
運動神経が悪いわけではない、寧ろ良い方だ。
でも、早くお兄ちゃんを助けなければ、という焦りがAの限界を超していた。
一歩でも、一秒でも早く。
ピッチを上げ、とうに限界を向かえている体を更に動かす。
「(早く、もっと早く……)」
ーーーーーーーーーーー
ーーーーーーー
ーーー
「着いたぞ」
そこにはあったのは小型の船。
肩で息をしながらも何とか顔を上げ確認する。
「早く乗れ」
「はい」
頬を伝う汗を拭い、呼吸を整える。
休む暇などない。
海の上の不安定さを感じながら船に乗る。
残念なことにも、人世初という船の感動の余韻に浸る暇もなく、船は出発した。
野太いエンジン音と共に船は進み、あっという間に速度は上がる。
潮風が頬を突き付け、船に打ち付けられた水がピチャッと顔にかかる。
「……小娘」
「…はい？」
ふと自分の目の前で船の操作をしえいる国木田が話しかけてきた。
また叱られるのだろうか？と身をすくめる。
「先刻は…その…キツい云い方をして済まなかった」
「…？」
首をこてんとかしげ、疑問符をちりばめる。
彼の口から出た言葉には予想外のもので、理解するのに暫しの時間を要した。
キツい云い方？済まない？いつ？
ぽくぽくぽくちーん、と云わんばかりにAは「ああ」と思い出す。
「良いんです。あれは私の我が儘なんですから」
「…そうか」
凛として、だけども優しい声音が国木田の耳へ届く。
国木田も意外と繊細なのか？とAが疑問に思ったことは云わないでおこう。
そして、そのあと何故か暫くの沈黙が続くが、それもすぐに終わった。
敦達の乗っている密輸船が、見えたからだ。
それにAはいち早く気づき、国木田に報告する。
「国木田さん！あれです！密輸船！」
「判った。今スピードを上げる、落ちるなよ」
はい、とAは返事をして黙り混む。
そして船も近くなってきた……その時だった。
ドガアァンッ
船が大きな音を立てて爆発したのは。
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+アリス+(プロフ) - かにかまさん» 塩対応能力(笑)ですね。妹ちゃんは太宰さんを塩対応すればするほど良いと(個人的に)思ってるので(寧ろ敦くんには天使スマイル向けてほしいです) (2018年10月24日 19時) (
レス) id: 87d894de71 (このIDを非表示/違反報告)
かにかま(プロフ) - 塩対応能力w (2018年10月23日 20時) (レス) id: 723d39c3a6 (このIDを非表示/違反報告)
+アリス+(プロフ) - 紅華さん» すみません間違えていました。誤字の指摘、本当にありがとうございます。申し訳ありませんでした (2018年9月30日 23時) (レス) id: 87d894de71 (このIDを非表示/違反報告)
紅華(プロフ) - あの公開ではなくて後悔ではないのですか？ (2018年9月30日 23時) (レス) id: 1bdfb279a8 (このIDを非表示/違反報告)
+アリス+(プロフ) - 緑谷みとかさん» はい、では早速紹介させていただきます！ (2018年8月14日 10時) (レス) id: 87d894de71 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：+アリス+ | 作成日時：2018年7月18日 20時
