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百二話「小さな奇跡」 ページ15

治療室にて。







「ん………?」






紫と黄色の綺麗な目をパチリと開ける。
Aは先程まで与謝野の治療(と云う名の解体)を受け、精神的に疲れはてていた。
どうやら治療のあとは暫くの間眠っていたらしい。
疲れて重くなった体を何とか起こす。
そして辺りを見回し、現在の時刻を確認する。









「(まだ治療されてから一時間しか経ってない。
お兄ちゃんを助けられる可能性が上がってきた)」








治療をされたのは現在の時刻の一時間前。
一時間ならそう遠くへは行っていない筈だ……多分。
兎に角、時計が壊れていないことを祈ろう。





「どうすンだい。唯一の手掛かりが『おじゃん』だ」

「!」





聞き慣れたあの声が聞こえる。
この声は与謝野だ。







「(何があったんだろう?)」







足が勝手に動き出す。
確信はなかったけど、それが兄のことのような気がしてならなかった。









「(早く行かなくちゃ……!)」







治療室のドアを開け、探偵社のオフィスに出る。
そこから廊下へと足を踏み出し、声が聞こえる部屋へと向かった。







「(あった……!)」








声が聞こえるのは「会議中」と書かれた札のある部屋だった。
好奇心に勝てずに、その扉をわずか数ミリほど開ける。
薄暗い廊下に一筋の光が差し込んだ。
そこから見えたのは___









「異能力__『超推理』!」







異能力を使っている乱歩の姿だった。
息を殺し、その様子をAはじっと見ていた。







「敦くんが今いる場所は__ここだ」







ホワイトボードに貼り付けられた地図でその場所を指す。
__そこは海だった。








「速度は二十ノット、公海へ向け進んでいる」







死んではいない、今はね。
その言葉でAは兄の居場所を推理した。







「(お兄ちゃんは船の中にいる。行き先は多分外国だ。
七十億の懸賞金__つまりお兄ちゃんは取引されてしまう)」








死んでいないなら、まだ助けることができる。
それはAに差し込んだ希望であり、喜びでもあった。
今ならまだ間に合う。
でもどうすれば……。







「港に社の高速艇がある、今出せば間に合う」







船……そうだ!
福沢のその言葉にAの耳が反応する。
そこから先は早かった。
勢いよく扉を開け、驚く社員に目もくれず、Aは叫んだ。







「それ、私にも行かせてください!」

百三話「諦めない」→←百一話「社長の偉大、兄の存在」



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+アリス+(プロフ) - かにかまさん» 塩対応能力(笑)ですね。妹ちゃんは太宰さんを塩対応すればするほど良いと(個人的に)思ってるので(寧ろ敦くんには天使スマイル向けてほしいです) (2018年10月24日 19時) (レス) id: 87d894de71 (このIDを非表示/違反報告)
かにかま(プロフ) - 塩対応能力w (2018年10月23日 20時) (レス) id: 723d39c3a6 (このIDを非表示/違反報告)
+アリス+(プロフ) - 紅華さん» すみません間違えていました。誤字の指摘、本当にありがとうございます。申し訳ありませんでした (2018年9月30日 23時) (レス) id: 87d894de71 (このIDを非表示/違反報告)
紅華(プロフ) - あの公開ではなくて後悔ではないのですか? (2018年9月30日 23時) (レス) id: 1bdfb279a8 (このIDを非表示/違反報告)
+アリス+(プロフ) - 緑谷みとかさん» はい、では早速紹介させていただきます! (2018年8月14日 10時) (レス) id: 87d894de71 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:+アリス+ | 作成日時:2018年7月18日 20時

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