八十九話「うつくしき人は寂として石像の如く」 ページ2
「それじゃあ妾は鏡花ッて奴の様子を見てくるよ」
そう云って与謝野は医務室に入っていった。
因みにAはまだ顔を青くして小動物のように震えていた。
「A大丈夫？何があ」
「何も聞かないで、私はなにもされていない、眠っていただけ…そう、何もなかったことに……」
「う…うん…」
しゃがみこんでブツブツと自己暗示をかけるAを、敦は不安そうに見つめる。
「別のことを考えよう。なにか別の………そ、そうだ！お、お兄ちゃん、その携帯どうしたの？」
何とか忘れようと無理矢理話題を変える。
Aは敦の持つ、兎の可愛いストラップがついた携帯について質問した。
「ああ、これ？これは鏡花ちゃん……昨日の女の子が持っていた携帯だよ。
今はこの医務室で眠ってる」
ああ、だからさっきから医務室の前に座り込んでいるのか。
「その少女は名の通った暗殺者だ。
先刻敦に説明したがもう一度云おう」
国木田はAに鏡花のことを教える。
鏡花は急激に戦果を挙げすぎ、捕まるのも時間の問題と云うこと。
彼女の異能のこと。
異能力が自分自身を幸せにするとは限らないことを。
＿＿＿そしてそれは、二人が何よりも知っていることでもあった。
「……あの子は…これ以上人を殺したくないと云っていた。
『殺し』は彼女の本心じゃない。
悪いのは異能を利用しているポートマフィアなのに…」
Aは自分の拳を握り締める。
それは、彼女を利用したマフィアへの怒り、
少女自身は善人であるのにそれを違うと云う世間への理不尽でもあった。
「(兄妹揃ってお人好しだな。まあ、それはお前らの美徳でもあるが…)」
偶然にも、Aは先程の敦と同じことを云っていた。
そんなAを可哀想にと見つめる国木田。
それはAと敦が持つ優しさへの哀れみでもあった。
ガチャ
与謝野が医務室の扉を開けた。
「目覚めたよ」
どうやら鏡花は無事なようだ。
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+アリス+(プロフ) - かにかまさん» 塩対応能力(笑)ですね。妹ちゃんは太宰さんを塩対応すればするほど良いと(個人的に)思ってるので(寧ろ敦くんには天使スマイル向けてほしいです) (2018年10月24日 19時) (
レス) id: 87d894de71 (このIDを非表示/違反報告)
かにかま(プロフ) - 塩対応能力w (2018年10月23日 20時) (レス) id: 723d39c3a6 (このIDを非表示/違反報告)
+アリス+(プロフ) - 紅華さん» すみません間違えていました。誤字の指摘、本当にありがとうございます。申し訳ありませんでした (2018年9月30日 23時) (レス) id: 87d894de71 (このIDを非表示/違反報告)
紅華(プロフ) - あの公開ではなくて後悔ではないのですか？ (2018年9月30日 23時) (レス) id: 1bdfb279a8 (このIDを非表示/違反報告)
+アリス+(プロフ) - 緑谷みとかさん» はい、では早速紹介させていただきます！ (2018年8月14日 10時) (レス) id: 87d894de71 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：+アリス+ | 作成日時：2018年7月18日 20時
