五五話「動揺は国木田さんをも殺す」 ページ7
「うろたえるな」
あわあわするお兄ちゃんに国木田さんが冷静に話す。
これが大人の対応と云うものか。
「確かにマフィアの暴力は苛烈を極める。だが動揺するな」
国木田さんがまた頁をめくる。
凄い冷静さだ。落ち着いている。
だが……
「動揺は達人をも殺す。師匠の教えだ」
凄く気になることがある。
此れは突っ込んでいいことなのだろうか?
否、でも気になる。
もう一度、国木田さんの理想と書かれた手帳を見る。
「「あの……手帳逆さまですよ」」
偶然にもお兄ちゃんと声が重なる。
やっぱり兄妹は考えることも一緒なのだろうか?
当の本人、国木田さんは目を見開いて少しの間固まった。
そして手帳の向きを戻す。あくまでも冷静に。
少しの間沈黙が漂う中、何故か国木田さんが椅子から立ち上がり、私たちのもとへ歩く。
如何したんですか、とたずねようとしたそのとき__
「俺は動揺していない!!!」
私たちの目の前に立ち、何をするのかと思えば、急に大声を出された。
否、滅茶苦茶動揺してるじゃないですか。
「マフィア如きでで取り乱すか!!たとえ今ここが襲撃されようと俺が倒す!!」
くわっ!と云うような効果音がつきそうだ。
お兄ちゃんも私もどう対応していいのか判らず、若干引いている。
「あれをこうして、こうばしッと動き、いい感じにぐっとやって倒す!」
説明がワヤワヤだ。
身振り手振りをしながら説明しているけども、全然伝わらないし…。
いつも冷静な国木田さんが焦りまくっている。
それだけ探偵社の危機なんだ。
「ふん、奴らは直ぐに来るぞ。お前たちが招き入れた事態だ。自分でできることを考えておけ」
私にできること……。
そんなことを考えているうちに、国木田さんは医務室から出ようとした。
ドアノブに手を掛けたとき、足がピタリと止まった。
如何したのだろう?まだ何か云うことでもあるのだろうか?
「ところで、先刻から探しているんだが眼鏡を知らんか?」
あ、これは重症だ。
頭に掛けてあった国木田さんの眼鏡を見てそう思った。
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+アリス+(プロフ) - 霧瑠乃さん» ありがとうございます!では早速紹介させていただきます。 (2018年6月24日 20時) (レス) id: 87d894de71 (このIDを非表示/違反報告)
霧瑠乃(プロフ) - +アリス+さん» はい!オッケーですよ! (2018年6月24日 18時) (レス) id: 243261d0e7 (このIDを非表示/違反報告)
+アリス+(プロフ) - 霧瑠乃さん» 返信が遅くなってしまい申し訳ありません。イメ画、拝見させていただきました。汚くないです。むしろ自分の夢主をこんなに可愛く描いてもらえてとても嬉しいです!宜しければ、このイラストを小説の中で紹介したいのですがいいですか? (2018年6月24日 17時) (レス) id: 87d894de71 (このIDを非表示/違反報告)
霧瑠乃(プロフ) - +アリス+さん» イメ画描いたんで…汚くて申し訳ない (2018年6月14日 18時) (レス) id: 243261d0e7 (このIDを非表示/違反報告)
霧瑠乃(プロフ) - +アリス+さん» http://uranai.nosv.org/img/user/data/3/6/7/367184e309c78bafdccbd390e66ab0c5.jpeg (2018年6月14日 17時) (レス) id: 243261d0e7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:+アリス+ | 作成日時:2018年5月21日 17時