五四話「私達の居場所」 ページ6
「目を覚ましたか……全くこの忙しいときに」
私でもお兄ちゃんの声でもない、第三者の声が聞こえた。
周りをキョロキョロと確認する。
声の主は国木田さんだった。
眼鏡をサングラスのように頭に掛け、椅子に座り、理想と書かれた手帳を見ていた。
「そうだ。僕たちはマフィアに襲われて、それから__」
お兄ちゃんがハッと気付く。
確かに私も忘れかけていた。
確か、私たちは昨日、ポートマフィアの芥川と云う男に襲われて……
「そうだ!谷崎さんにナオミさんは!?」
「無事だ。隣で与謝野先生が治療中」
「ギャァアァァァアアアアアアア!!!!」
「「……治療中?」」
国木田さんの言葉を遮るように、谷崎さんの悲鳴が聞こえた。
治療中……だよね?
治療中なのに何で悲鳴が。
「聞いたぞ小僧」
え、谷崎さん無視して大丈夫なんですか?
もしかしてこう云うのって日常茶飯事なのだろうか?
だとしたら相当怖い。
「七十億の懸賞首だと?出世したな。マフィアが血眼になるわけだ。
それに小娘も。真逆お前があの事件の犯人だったとはな」
ドクンと心臓が大きく鳴る。
此れは私が最も恐れていたことだ。
「……最初から知ってたんですか」
私の過去を知って、見捨てられること。
「否、昨日太宰から聞いた」
私は暫く俯いたまま、顔をあげることが出来なかった。
犯罪者は、異能力を暴走させる可能性のある私は
__いらないのではないだろうか。
「あの!」
「安心しろ」
私たちを此処においてください。
そう云おうと何とか声を絞り出そうとした。
でもそんな私の考えを読み取ったかのように国木田さんが口を開いた。
「少なくとも探偵社はお前らを捨てたりはしない」
理想と書かれた手帳の頁を捲り、国木田さんは平然とした態度を取る。
「だがお前たちを保護するのが我々の仕事ではない。自分の身は自分で守れ」
「国木田さん……」
「でもどうするんです!!マフィアが探偵社に押し寄せてくるかも」
忘れていた。
マフィアに狙われているのは私だけではない。
お兄ちゃんこそマフィアの本命なのだ。
五五話「動揺は国木田さんをも殺す」→←五三話「朝とは憂鬱なものである」
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+アリス+(プロフ) - 霧瑠乃さん» ありがとうございます!では早速紹介させていただきます。 (2018年6月24日 20時) (レス) id: 87d894de71 (このIDを非表示/違反報告)
霧瑠乃(プロフ) - +アリス+さん» はい!オッケーですよ! (2018年6月24日 18時) (レス) id: 243261d0e7 (このIDを非表示/違反報告)
+アリス+(プロフ) - 霧瑠乃さん» 返信が遅くなってしまい申し訳ありません。イメ画、拝見させていただきました。汚くないです。むしろ自分の夢主をこんなに可愛く描いてもらえてとても嬉しいです!宜しければ、このイラストを小説の中で紹介したいのですがいいですか? (2018年6月24日 17時) (レス) id: 87d894de71 (このIDを非表示/違反報告)
霧瑠乃(プロフ) - +アリス+さん» イメ画描いたんで…汚くて申し訳ない (2018年6月14日 18時) (レス) id: 243261d0e7 (このIDを非表示/違反報告)
霧瑠乃(プロフ) - +アリス+さん» http://uranai.nosv.org/img/user/data/3/6/7/367184e309c78bafdccbd390e66ab0c5.jpeg (2018年6月14日 17時) (レス) id: 243261d0e7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:+アリス+ | 作成日時:2018年5月21日 17時