八十二話「白雪と光と虎」 ページ37
「お兄ちゃん大丈夫?今止血す__」
「Aは下がってて、僕がやる」
先程後ろに叩きつけられた敦はどうにか夜叉を倒そうとも苦戦する。
服はあちこちが擦りきれ、血も出ている。
でも妹に助けを求めようとはしなかった。
兄としての、意地である。
そしてふらふらになりながらも敦は立ち上がった。
『敵のことごとくを切り刻め、『夜叉白雪』』
「!……お兄ちゃん避けて!」
何かを察したAが兄を後ろに突き飛ばす。
夜叉が斬りかかって来るのに気づいたAは、
兄を守るために自らを犠牲にしたのだ。
ガキンと恐ろしい音が聞こえる。
「うっ……がっ………ぁ」
夜叉が刀をしまった瞬間、Aの周りのものが無惨に切り刻まれた。
腹からは血が出ており、気絶してしまいそうになる。
___筈なのだが
「!」
少女は驚く。
Aには傷一つついていない。
よく見るとかすり傷がついているが、大きなダメージはない。
何故だ?
「風を操って自分の周りに一時的な
ようはそういうことである。
彼女は自分の能力を使って自分を守ったのだ。
あのとき__芥川に襲われたとき、自分は誰も守ることができなかった。
二度とそんなことさせない、そう思ってAはこの方法を考えたのだ。
「次はこっちの番……の前にひとつ教えてほしいことがある。
何で貴女みたいな小さな子がこんなことをするの?」
二人が向かい合う。
白い髪と黒い髪、それは対の意味を表現する。
そしてAはある推測をする。
最初から何かが引っ掛かっていた。
それを確かめるために。
「私の名は鏡花。あなたたちと同じ孤児。
好きなものは兎と豆府。嫌いなものは犬と雷。
マフィアに拾われて、六ヶ月で35人殺した」
「35人……」
この子も人を殺した。
自分と同じである。
「爆弾を守れ、邪魔物は殺せ」
また携帯から指示が出される。
そして少女の異能がこちらへ向かってくる。
「(嗚呼、やっぱりだ)」
あの異能力は少女のために動いたことなど一度もない。
携帯からの声のみに従っている。
少女の意思とは無関係に。
そうつまり__
「(この子は自分で異能力を操れないんだ……!)」
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+アリス+(プロフ) - 霧瑠乃さん» ありがとうございます!では早速紹介させていただきます。 (2018年6月24日 20時) (レス) id: 87d894de71 (このIDを非表示/違反報告)
霧瑠乃(プロフ) - +アリス+さん» はい!オッケーですよ! (2018年6月24日 18時) (レス) id: 243261d0e7 (このIDを非表示/違反報告)
+アリス+(プロフ) - 霧瑠乃さん» 返信が遅くなってしまい申し訳ありません。イメ画、拝見させていただきました。汚くないです。むしろ自分の夢主をこんなに可愛く描いてもらえてとても嬉しいです!宜しければ、このイラストを小説の中で紹介したいのですがいいですか? (2018年6月24日 17時) (レス) id: 87d894de71 (このIDを非表示/違反報告)
霧瑠乃(プロフ) - +アリス+さん» イメ画描いたんで…汚くて申し訳ない (2018年6月14日 18時) (レス) id: 243261d0e7 (このIDを非表示/違反報告)
霧瑠乃(プロフ) - +アリス+さん» http://uranai.nosv.org/img/user/data/3/6/7/367184e309c78bafdccbd390e66ab0c5.jpeg (2018年6月14日 17時) (レス) id: 243261d0e7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:+アリス+ | 作成日時:2018年5月21日 17時