七十八話「怒らせると怖い」 ページ33
「(あ……)」
荷物を持ち歩いていると、或る少女とすれ違った。
普段は人とか気にしないが、その時は何故か目で追ってしまった。
洋服まみれの現代じゃ珍しい、和装をしていたからである。
赤色の着物に黒い髪と大和撫子を想像する容姿であった。
「(小さい……小学生かな?)」
ふと目が合う。
その少女は__冷たい目をしていた。
一瞬だけ、この世界がゆっくりとスローモーションになっていくような気がした。
……何だろう、嫌な予感…と云うよりかは変な感じがする。
「うわわっ!?」
弾けるように意識が引き戻された。
声の主は自分の兄、中島敦だ。
予想はしていたが、案の定荷物を落としていた。
しかもあろうことか他人を巻き添えにしていた。
相変わらずのドジっぷりである。
「ご、ごめんなさい!」
あわあわと慌てる敦。
しかも運が悪いことに、性格の悪そうな人が被害者になっていた。
「どういうつもりだ!欧州デザイナーの特別誂えだぞ!」
「す、すみません…」
「ご容赦を、お怪我は?」
与謝野が颯爽と現れ、敦に救いの手をさしのべる。
よくわからないおじさんの服についた汚れをはらっていた。
「五月蝿い!女の癖にわしを誰だと思っている!
貴様らの勤め先の電話一本で潰してくれるわ!」
与謝野が蹴られる。指を指され、侮辱される。
それが紳士のとる態度か、と思ったAが一言文句を云おうとするが……
「女の癖に?」
チョビヒゲおやじの指を与謝野が握りつぶそうとする。
めりめりと音をたてていたので多分折れただろう。
「そいつは恐れ入ったねえ、妾は医者だよ」
恐らくなにかが与謝野の地雷に触れたのだろう。
与謝野の表情に怖さが増した。
「おやァ?アンタ腕が二本あるねえ。さぞ不便だろう。
__妾が折ってやろうか?」
強いな、と荷物をおいたAがそれを見ていると…
「お兄ちゃん、どうして目と耳塞いでるの?」
「見ちゃダメ聞いちゃダメ教育に悪い!」
何故か兄の過保護が発動した。
七十九話「奇襲=マフィアの仕業」→←七十七話「危機察知能力など存在しなかった」
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+アリス+(プロフ) - 霧瑠乃さん» ありがとうございます!では早速紹介させていただきます。 (2018年6月24日 20時) (レス) id: 87d894de71 (このIDを非表示/違反報告)
霧瑠乃(プロフ) - +アリス+さん» はい!オッケーですよ! (2018年6月24日 18時) (レス) id: 243261d0e7 (このIDを非表示/違反報告)
+アリス+(プロフ) - 霧瑠乃さん» 返信が遅くなってしまい申し訳ありません。イメ画、拝見させていただきました。汚くないです。むしろ自分の夢主をこんなに可愛く描いてもらえてとても嬉しいです!宜しければ、このイラストを小説の中で紹介したいのですがいいですか? (2018年6月24日 17時) (レス) id: 87d894de71 (このIDを非表示/違反報告)
霧瑠乃(プロフ) - +アリス+さん» イメ画描いたんで…汚くて申し訳ない (2018年6月14日 18時) (レス) id: 243261d0e7 (このIDを非表示/違反報告)
霧瑠乃(プロフ) - +アリス+さん» http://uranai.nosv.org/img/user/data/3/6/7/367184e309c78bafdccbd390e66ab0c5.jpeg (2018年6月14日 17時) (レス) id: 243261d0e7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:+アリス+ | 作成日時:2018年5月21日 17時